日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎夢の話 第624夜 同時進行夢 その2 生贄

◎夢の話 第624夜 同時進行夢 その2 生贄
 17日の午前4時に観た夢です。頭の表層と深層で、まったく別の2つの夢を同時進行で観ていました。

 ホニャララ山には太古の神殿がある。
 その伝説を信じ、俺はホニャララ山を調べることにした。
 山は木々で覆われており、下がどうなっているのかは見ることが出来ない。
 そこで人足を雇い、枝を払うことにしたのだが、この人足たちの質が悪く、焚き火から山火事を起こしてしまった。
 これで山の中腹から上が丸焼けになった。
 そのことで、逆に山の全貌が明らかになった。
 「山に太古の神殿がある」のではなく、山の頂上全体が石造りの神殿だったのだ。
 まるで、中央アメリカのピラミッドみたいな巨大な建築物がそこには聳えていた。

 俺はひと月ほど麓に待機して、焼却灰が吹き飛ばされるのを待った。
 岩肌がしっかり見えるようになったので、調査のために山に登った。
 まずは下見だから、同行者は無く、俺一人だけだった。
 神殿跡は想像よりはるかに大きく、六百くらいの小部屋があるらしい。
 三十階建てのビルに相当する建物だ。
 頂上付近は三角で、お馴染みのピラミッド形をしている。
 そのピラミッドに近付くと、驚いたことに、上に人がいた。
 「もう見物人が出ているのか」
 状況によっては、登山を規制する必要がある。

 最上部の平らな箇所には、二百人くらいの人が立っている。
 その中央には、女が二人いたのだが、一人は五十台、もう一人は二十歳くらいの娘だった。いずれも古代人の衣装らしき服を身に着けていた。
 俺は人だかりの後ろから、その女たちの様子を見守った。
 最初に、年かさの女が口を開く。
 「うぬゐ、あしりきに、うらとぽす、だみ」
 うひゃひゃ。一体どこの言葉なんだか。
 だが、そんな言語など知らぬはずの俺の頭に、言葉の意味が響いた。
 「我々の神聖なこの地を汚した者がいる」だ。
 アイヌ語にも似ているし、ニューギニア人の言葉にも似ている。

 「でもなぜ俺が理解できるんだろ」
 すると、その呟きが聞こえたのか、前の男が振り返った。
 「これは四千年前の言葉なんだけれど、この国の人間の脳に刻み込まれている。だから、少し聞くと、すぐさま思い出すんだよ」
 ふうん。そんなこともあるのか。
 まあ、日頃、人間が使っているのは、脳のごく1、2割だけだ。他の箇所には、はるかに多くの記憶が埋まっているのかもしれん。

 女は巫女のような立場らしい。
 どこに潜んでいたのかは分からぬが、ずっと数千年に渡り、代々、神事を司って来たのだろう。
 「これから、神に生贄を捧げ、この地を清める。それ、その生贄は、そこにおる」
 巫女が指差したのは、俺だった。
 すかさず左右から腕が出て、俺は取り押さえられた。
 そのまま俺は巫女たちの前に引き出された。
 「アルタワタ・ガルブレ・ウィノワリ」
 悲しいことに、俺にはその意味が分かる。
 「この者の心臓を取り出し、神に捧げる」だ。
 間髪入れず、巫女がナイフを突き出し、そいつが俺の胸の真ん中に刺さった。
 声を上げる暇も無い。
 巫女は俺の胸を切り開くと、動脈を断ち切り、心臓を取り出した。

 「心配するな。お前は神聖な生贄だ。生贄にされた者はすぐに生まれ替わることになっておる」
 巫女の言う通りだった。
 俺の意識は徐々に細くなっていたが、妊婦の腹の中にいる赤ん坊に吸い込まれていくのが分かる。
 たぶん、俺は今の俺の記憶と意識を持ったまま、その赤ん坊に生れ替わるのだろう。
 「なるほど。あの巫女たちも同じように心臓を神に捧げて、記憶を後世に伝えて来たのだな」
 その瞬間、今生での俺の意識がふっつりと途絶えた。
 ここで覚醒。