◎やっと勝つ
介護施設にいる父が「暇でしょうがない」とこぼすので、PS4を買ってあげました。
ベッド脇のテレビに接続し、将棋ゲームが出来るようにしたのです。
ところが、キーボードなど触ったことがないので、使い方が分かりません。
当方もこれまでゲームはやりませんでしたので、最初は一緒にやって、マニュアルを作りました。
「この時には○を押すこと」
「動かす時には、青マークを合わせて○」
しかし、やっぱり上手く出来ないので、毎日のように施設を訪れては、1回だけゲームをしました。
当方は将棋の趣味は無く、将棋自体は分からないのですが、こちらは父が分かります。
何度かやっていると、ゆっくりですが、認知症の老人でも駒を動かせるようになります。
帰宅する前日にも、父のゲームを手伝っていたら、ついに勝ちました。
「おお。勝った勝った」
何事も勝負に勝つのは嬉しいものです。
危うく父とハイタッチするくらいの勢いでした。
これで11級をクリア(笑)。先は長いぞ。
帰り際に、「一人でもやってみれば?」と訊くと、「俺には向かない」という返事です。
そりゃそうだ。息子の当方だって向かないもの。
背中を向けてから、一瞬、「もしかして、あの父親は息子に付き合おうとしていたのでは」と思いました。