◎夢の話 第677夜 壁
8日に病院のベッドに横になっている時に観た夢です。
瞼を開くと、地面の上に仰向けに寝ていた。
地面と言っても、白っぽい床で、これが四方に広がっている。
強いて例えれば、塩の湖みたいなところだ。
起き上がって、遠くを望むが、やはり白い地面だけがどの方角にも続いている。
「ここはどこなんだろうな」
同じ場所に留まっていても仕方が無いので、ひとまず歩き出す。
1時間くらい歩いたが、景色はまったく変わらない。
草も木も生えていない白い地面が続くだけ。
上を見上げても、雲に覆われていて、様子がまるで分からない。
「一体、ここは何なんだろ」
ひたすら歩く。
2時間ほど経つと、ようやく端に到達した。
「端」と言う表現が適切かは分からないが、白い壁が聳えていたのだ。
壁ははるか上空まで続いているらしく、一体どれくらいの高さなのかも知り得ない。
「壁があるんだから、どこかにドアなり、施設なりがあるんだろ」
この時、俺は刑務所をイメージしていた。まあ、、「壁」や「塀」と言えば、真っ先に思い浮かぶのは刑務所だ。
ところが、壁伝いに歩いても歩いても、ひたすら壁が続くだけだった。
そのまま6時間歩き、ようやく角に突き当たった。
壁が90度に折れ曲がり、今度は横に伸びている。
「今度はこっちの方角か」
そのまま壁伝いに歩き始める。
さすがに疲れてきたので休み休み歩き、14時間掛かって、再び角に着いた。
やはり90度に曲がっており、同じような壁がはるか先まで見えていた。
「90度に曲がって、また90度だから、結果的に前の方角に戻ることになるな」
俺は何となく、この場所の構造が分かって来た。
たぶん、そのまま進むとやはり90度の角がある。そのまた進むと、また90度。
「もしそうなら、ここは長方形の箱庭だな」
どでかい箱のようなつくりだ。そうなると、最初の「刑務所」というイメージはなかなか悪くない。
ここでようやく上空が晴れて来た。
雲の晴れ間から、真っ青な空が覗いている。
壁の天辺も見えるのだが、なんと上空3千メートルくらいまでありそうな高い塀だった。
「何とまあ、でっかい箱だな」
ここで俺は閃いた。
「なあんだ。どこかと思ったら、これは棺桶じゃないか。俺は棺桶の中をうろついていただけだった」
思わずクスクスと笑いが零れる。
「これって、孫悟空がお釈迦様の掌を抜け出そうとする場面を、思いっきりデフォルメした設定じゃないか」
俺がどんなに頑張ろうと、所詮は棺桶の中の話だってことだ。
ま、いずれ人は必ずそこに行き着くもんだ。
「なあるほど。人の人生なんて所詮はそんなものと思えば、日頃の小さな不満やストレスなど大したことがないように思えて来るなあ」
ここで覚醒。