◎敗者復活を祈る
土曜福島のメインレースは、11Rではなく9Rだ。
オジュウチョウサンという、障害レースでは空前絶後の名馬が平地競走に出走する。
チョウサンは、障害レースでは平場でのディープインパクト級の「伝説の名馬」だが、かつて平場でデビューした数戦は一度も勝つことが出来なかった。要するに、平場ではいまだ未勝利馬の扱いになる。
9Rは5百万下という下級条件のレースだが、かつて勝てずにターフを去った馬が、7歳にして再挑戦することになる。
馬主は「ここを勝てたら、G1レースに登録出来るので、有馬記念に出したい」と言う。有馬記念で好成績を残せたら、次はフランスの凱旋門賞だ。
1勝もできなかった馬の末路は哀れで、乗馬用にもなれずに馬刺しにされてしまう。
(このため、競馬関係者や馬券師は絶対に馬刺しを食べないのだと言う。当方ももちろん、馬肉は口にしない。さすがに可哀想だもの。)
平場のG1に「勝ってくれ」とは言わないが、有馬記念には出て欲しい。
負け犬が負け犬で終わらなかったところを見れば、さぞ爽快だろうと思う。
同じように、1勝も出来ずに馬肉にされるところを、フィリピンに売られた馬がいるが、こちらは数年後に彼の地の最高賞を勝ち取った。十五年以上前の馬だが、彼の地の博打打ちが口々に「日本から来た馬が・・・」と興奮して話していた。
良い話なので日本にも紹介したいのだが、資料が揃わず、先に進めない。前に話を聞いた時に、馬の名すら聞いていないので調べられないのだ。どうにかならんものか。
オジュウチョウサンには是非とも勝って欲しい。
レースの始まる時刻には、当方は病院のベッドの上だが、こっそりスマホを取り出して馬券を買うと思う。
応援馬券は、もちろん、チョウサン単勝の1点だ。
だが、必ず人気になるので、勝負馬券のほうは、チョウサンを外して、1~5番くらいの人気馬もさらに外す。
7番人気あたりで穴馬を見つけて、さらにそいつから下位に流す。
こういうレースでは、あっさりチョウサンが勝つか大敗して、他の馬の順番もぐちゃぐちゃになるもんだ。
馬連で5百倍とか8百倍になるのはこういう感じのとき。
となると、僅か数百枚の勝負で、千の桁が見えて来る。
「2分で堅気の年収分稼ぐ」のは博打打ちが目指す目的だが、現実はやはり甘くない。大体がスッて終わり。
また、当ててウン百万になったところで、1、2ヶ月もあれば全部溶かす。
それが博打打ちの性というものざんす。