ウェブサイトにてスポンサー頁の『古貨幣迷宮事件簿』を公開していますが、そちらにジャンプしやすいように、このブログにもダイジェストを掲載するものとしました。
なお、アドレスは http://www.goemonto.rexw.jp/humei.html となります。
今のところ、下記のところまで進行しています。
1)第1話 これぞ本当の文久様?
2)第2話 「文久様」ってどういうこと?
3)第3話 延展踏潰銭
4)第4話 目寛見寛座の銭種について
5)第5話 称「江刺銭」の範囲について
6)第6話 南部絵銭 「隆平大銭」
7)第7話 げに贋作の種はつきまじ (本日開示)
既に収集家・研究者ではなくなりましたので、これまで言えなかった悪口も書きます。
古貨幣の収集家のケツの穴は、寛永銭の穴と同じくらいのサイズですから、多く腹を立てると思います(大笑)。
ま、どうでも結構。もはや仲間ではありません。
収集家が収集を止めるのは、「死んだ時」か「竈を返した時」です。
大枚をはたいて買い集めても、概ね25年もすれば全品売り払うのが常です。
道楽に没頭すれば、そりゃそうなります。
しかし、まだそれも良い方で、コレクションを遺して死ぬと、遺族はどうにも処理できず、安価で処分することになってしまいます。その場合、概ね3割以下の値段が相場です。
もっとも、品物の性質上、買った時の5割くらいならむしろ良い方だと思われます。
興味の無い人には、ただの金クズに過ぎず、例え売りに出しても、なかなか売れません。
あるいは、カタログを見て、それで売ろうと考える人もいますが、あれは業者さんが売りたい値段を書いているので、実勢とはまるで違います。末端価格なら、入札やオークションでの値段を調べる必要があるし、仲間相場なら古銭会に入り、そこで聞くことです。
今はネットオークションがあり、簡便なようですが、ネットの品の多くは概ね偽物ですし、セリ値が適切かどうかは不明です。この辺、古銭会に入らないと、やたら不利になります。
それはともかく、私が知りうる限り、生きているうちに、先を見切って収集品を処分したという例は、これまで聞いたことがありません。
次のような笑い話があります。
収集大家の某氏が末期癌になり、病院に入った。
おそらく、もはや退院することの無い、最後の入院だ。
あるとき、その某氏が収集仲間のN氏に電話を掛けた。
「ちょっと頼みたいことがあるので、病院に来てくれませんか」
N氏は「きっと、自分はこの先短いから、収集品を買い取って欲しい」、もしくは「収集品を処分したいので手伝って欲しい」という件だと考えた。
いずれにせよ、金額が張る話だ。某氏は古銭会の会長でもあり、キャリアが長いから、総額5千万ではきかない。億の桁になるかも。
N氏がドキドキしながら病室に入ると、某氏は点滴やら、心電図やらに繋がれていた。
その某氏がN氏を認めると、弱々しい声で呟いた。
「今日来て貰ったのは、他でもない。古銭の話なんだよ。私はもう長くない」
N氏は「それ来たぞ」と身を乗り出した。
すると、某氏はN氏に言った。
「Nさん。あなたの持っているあの古銭を、私に譲ってくれないか」
はい。どんとはれ。
全部実話です。