◎『地球最後の男』
病院のベッドは暇なので、いつも古い映画を観ています。
昨日は1964年製作の『地球最後の男』でした。
原作はリチャード・マシスンで、主演はヴィンセント・プライス。
ウイルスによって、人類の大半が吸血鬼みたいな化け物に変わってしまった世界で、ひとり生き残った男が主人公となる話です。
この映画は、後にG.A.ロメロが『ナイト・オブ・リビングデッド』を作る時に参考にしたようで、化け物がノロノロ歩いたり、死者が生き返るところは、そのまま使っています。
主人公は、今は昼は寝ている感染者を探しては殺し、焼いて行くのですが、気がついてみたら、世界は既に感染者のものになっていた。
終盤で主人公は「この俺こそが伝説の怪物だったのだ」と漏らすのですが、これが題名で’’I am regend''です。
後にチャールトン・ヘストンや、ウィル・スミス主演で2度リメイクされています。
ただし、後の2作は、ワクチンを開発し、僅かに生き残った人類を救う「伝説の男」になるとコンセプトを変えています。
逆転の発想こそが原作の面白いところだったのに、これを平凡なヒーローものにするところは、さすがにため息が出ます。
最初のを見直すと、やはり抜群にこれが面白い。
感染者が死ぬと、保健所によって死体を焼かれてしまうのですが、主人公は妻を焼かれるのが嫌で、こっそり土葬します。
夜になると、その妻が墓から這い出て来て、家に戻り、主人公を食おうとする。その時の妻の変貌振りが、一番怖いです。
ついでなので、アマゾンプライムで『アイ・アム・レジェンド』を観たのですが、気の抜けたサイダーなみのつまらなさでした。やはり、受けを取りに行くと、その時はソコソコ儲けられるのかも知れませんが、何も残りません。
そう思うと、最初のは大して当たらなかっただろうと思います。直接的な表現ではないのですが、死体を焼く場面などはショックです。娯楽映画としてはハード過ぎるわけですが、その分、インパクトがあります。
ま、モノクロ映画が苦手なひとはダメだろうと思います。