◎『ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ─アディオス─』※ドキュメンタリー映画
1999年の映画の時には、キューバ音楽には馴染みが無く、正直、何のことか分からなかった。
もちろん、今は分かる。
40年50年と、同じ音楽、同じ楽曲を演奏して来たバンドマンが、あるセッションをきっかけに、世に出るようになる。
これが1996年頃の話だが、この時、主要なメンバーは既にアラ70歳だった。
ところが「人の繋がり」は足し算ではなく、掛け算の効果を生む。
ひとつの街のバンドマンがキューバを代表するミュージシャンとなり、世界ツアーを行うようになって行く。
全部が実話だ。
最初は貧相な老人たちだったのに、世界ツアーの途中から、風格が出て来て、ステージに立つだけで客が沸くようになった。
気がつくと、背筋がシャキッと伸びて、オーラを放つようになっている。
今回のドキュメンタリーは「その後」を記すもので、メンバーの多くが2千年台に亡くなっている。
学ぶところは本当に多い。
ごく当たり前のように「50年続けている」ところとかは、観ている側が自分を恥じるほどだ。
俺は何を四の五の愚痴をこぼしているんだか。
「やり遂げて見せろよな」
そんな声が聞こえる。
心臓が止まるまでは生きているのだから、前に進むことを考えねばならないと思い知った。
前の映画と続きを連続して観れば、さらに感動すると思う。
今回、演奏が多くないのは、もう何人かが亡くなっているから、ということだ。