日刊早坂ノボル新聞

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◎京マチ子さんの凄み

京マチ子さんの凄み
 亡くなった京マチ子さんは、筋金入りの映画女優だ。
 活躍していたのが50年代60年代だから、全盛時は60年前の話。当時はバリバリのトップスタアだった。
 既にオヤジジイの私でも、この人が演じる場面はほとんど知らない。
 黒澤映画等のビデオを借りてきて、それを見るくらい。
 『羅生門』、『地獄門』、『雨月物語』とかだ。

 この京さんは確か50台の半ば頃に、映画の中で平然とヌードになった。
 演技派だから、役柄なら平気だろうが、「自分の美貌に自信を持っていた」ことには疑いない。
 トシを考えると、確かに半端なくきれいだった。

 京さんは物腰がスタア然としており、常に堂々としていた。
 この「常に堂々としている」というのは重要なポイントで、どういう境遇でも、毅然としていると、他の者の方が畏まる。

 息子には、「どういう相手が前に立っても、常に堂々としていろ。また、そういう自分でいられるようにしろ」と言っているが、京さん世代の人の多くがそうだったことから学んだものだ。
 常に精進を怠っていなければ、誰が何を言っても、怯むことなく自分の意見を言える。

 今は目先の損得で動く人間ばかりだし、他人が自分より先んじていると思えば、やっきになって潰しにかかる。
 他人の評判が気になる程度の覚悟の者に何を成し遂げられるのか。
 最後までやり通した者だけが「極み」を垣間見ることが出来る。
 昔の人は生き方を教えてくれるが、やはりどんどん亡くなって行く。

 50年代にあって、京さんは「8頭身のスタイルだった」という。一般人は5頭身の時代だから(笑)、まさに「天女」だったことだろう。
 日本の「映画女優」は岩下志麻さんまでだろうと思う。
 その後は絶対的なオーラに欠けるので、「タレント」だと思う。