◎ひとつが欠けても成り立たない
私は十台の頃に『隠し砦の三悪人』を観て、すっかりハマってしまい、以来、毎年五回から十回はこの映画のビデオを観る。
よって今までどれくらい観たかがもはや分からぬほどだ。
おかげで、理想の女性像は「雪姫」になってしまい、オードリー・ヘップバーンよりも上原美佐さんの方に憧れる。
いつも思うのは、うまく行っている物事は、パーツ(要素)ひとつとっても、「どれが欠けても成り立たない」と思う。
女子サッカーでワールドカップを勝った時もまさにそんな感じ。この映画は要素と展開が揃って、あの結果が生まれた。
『アラビアのロレンス』に引けを取らぬ傑作のひとつだ。
映画を観る度に新しい発見があるが、この樋口年子さんの村娘も「無くてはならない要素」だったと思う。
樋口さんの芝居は、「まだこれから」でぎこちないのだが、それが役柄にピタッと嵌っている。
樋口さんは、その当時は高校生だった。
映画の雪姫のオーディションに来たが、監督によりその場で「村娘」役に採用された。
堂々と主役の雪姫役に応募するところがすごく良い。
「良い意味でチンチクリン」だったが、物おじせず堂々としている。他人の顔色を見るところがまったくない。いいねえ。
黒沢映画では他に『椿三十郎』に出ていたと思う。この映画の途中で「あれ?見たことがあるなあ」と気付いた。
樋口さんは三十台で亡くなっている。
どんな生き方考え方をしていたのか、もの凄く気になる。
ちなみに、何気なくスチール写真を見ると、後ろに人影が立っているようだ。これは一部だけでなく画像全体を確認しないと分からない。
樋口さんは私の仲間(同類)だったりするのかもしれん。それなら、必ず樋口さんに目が留まるのも頷ける。
追記)影は手に何かを持っているから、撮影スタッフかもしれん。エキストラの中に混じるだろうから、着物を着ていてもおかしくはない。