日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎元がしぶとい

◎元がしぶとい
 以前、病棟の更衣室で「死期臭」のするジーサンに会った話を書いたが、そのジーサンはその後持ち直して今も生きている。
 当方は病院にいる時間がやたら長いから、医療従事者と同じくらい生き死にを見ている。そのせいで、何となく「死にそうな人」の気配を感じることがある。これは今現在、重い症状かどうかということには関係なく、「そのうち死にそうだな」と思う相手が見舞い客の方だったりする。

 このジーサンは一時の状態から回復して、今は「死にそうな臭い」がしなくなった。
 さすがに容態は芳しくないから、車椅子に乗っていることが多い。

 数日前に、看護師が話をしているのを耳にした。
 そのジーサンに「今日は誕生日だね」とか何とか言っていた。
 その次の言葉が驚きだ。
 「これで97歳だね」
 おいおい。見た目は80台かと思っていたが、そんな年齢だったのか。
 それじゃあ、時々、死期臭がしたって当たり前だ。

 でも、つい半年前までは、このジーサンは一人で病院に来ていた。どんだけ丈夫で、しぶとかったことやら。
 40歳くらいから、老化の進行は人によって変わって来る。
 女性は50歳を過ぎても30歳くらいに見える人がいるし、アラ60だと、オバサンとバーサンが入り混じる。
 男性は頭髪以外は同じように齢をとるような気がするが、生命力はまるで違うようだ。

 当方は重い持病があるので、「老後」のことは心配していない。
 その代わり、年金なんかは「払い損」で、1円も貰うことはないだろうと思う。
 何か腹が立つので、「若い頃にグータラして、良く寝ていたヤツが長く生きるんだよ」と言うことにした。
 ま、それも嘘で、97のジーサンみたいに、なかなか死なないヤツは「生まれつき決まっている」のではないかと思う。

 「65歳から30年生きるといくら必要で」という話がナンセンスだと思うのは、「実際は、そんなヤツは少ない」からだ。
 「昭和の有名人」を検索すると、大体が50歳台から70歳台で死んでいる。

 もし、自分が90台まで生きると信じているなら、本当にめでたい話だ。