日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎小芝居に例えると

◎小芝居に例えると

 南田 「わたしを大切にしないと死んでやる」
 日野本 「でも、お前。お前は約束を守らないじゃないか。お互いこうしようと決めたって、3日も経てば自分勝手なことを言い始める」
 南田 「そんなの、あんたが悪いからよ。ぜんぶあんたのせい」
 日野本 「だいたい、俺と言うパートナーがいるのに、お前は『北島と結婚する。それで総てが良くなる』と言い触らしている。それで、俺には『自分を一番に考えろ』ってのは、話がおかしくないか」

 南田 「いいや、悪いのはあんた。そうに決まっている。十年前にデートに行った時だって、渋滞に巻き込まれて散々な目に遭った。それもあんたが悪いからよ。運転していたのはあんただもの」
 日野本 「また十年前のことを持ち出すのか。それはもう話が済んだことだろ。今の問題とは関係無いだろ」
 南田 「いえ。そんなことはないわ。全部が繋がっているのよ。とにかく悪いのはあんたなの。私の気分が治るまで、あんたはずっと謝らなくてはいけない。だって私の気が済んでいないもの」

 日野本 「そんなに嫌なら、別れればいいじゃないか。早く北島のところに行け。これまでずっと、俺はお前に対し、よかれと思うことを黙ってやって来たが、もう止めるからな。他の女と同じ扱いにする」
 南田 「何を言うの。私をこんなにしたのはあんたでしょ。全部あんたのせいなのよ。あんたなんか、私が北島さんと一緒になったら、すぐに追い越してやるんだから」

 日野本 「お前さ。こないだ俺がちょっと叱ったら、包丁を向けただろ。しかも、自分が包丁を向けているのに、近所の人には『あの人が暴力を振るおうとした。あのひとが悪い』と言いふらす。それで信頼関係が保てると思うのか。今までは俺の部屋の物は自由に使って言いことにしていたけど、もうそうは行かないからな。どうやらお前は俺のものを北島に渡しているようだからな」
 南田 「そんなの証拠がないじゃない。証拠を出して見せろよ」
 日野本 「じゃあ、俺のコーヒーメーカーはどこにやった。部屋に入れるのはお前だけだ」
 南田 「知らない」
 日野本 「答えられないのか」
 南田 「知らないったら、しらなあああああい。そんなことを言うのなら、私はあんたがどんない酷いヤツか、皆に言い触らしてやる」
 日野本 「自分のことは棚に上げて、いい加減にしろ。もう俺の部屋の鍵は返してくれ」

 南田 「嫌よ。そんな勝手なことは許さない。あんたのお父さんやお母さんのところに言って、息子がどんなことをしてきたかか告げ口してやる」
 日野本 「まあ、お前は告げ口が得意だからな。第三者を巻き込んで、自分に優位な状況を作ろうとする。お前のそんなところには、ほとほとウンザリした。もう別れてくれ」
 南田 「嫌だったら嫌よ」
 日野本 「二又掛けてんじゃねえよ。鍵返せ」

 南田 「よおし。そんなことを言うなら、これからは鍵を開けたままにしてやる。あんたが外に出たら、ドアの鍵を開けてやる。誰でも入りたい放題だ」
 日野本 「それで泥棒が入ったら、お前が困るだろ。お前の物の方が多いのに」
 南田 「ふん。私を一番に考えないからよ」
 日野本 「おい。お前は北島と結婚するって言ってるじゃないか。そもそも話がおかしいだろ。頭は大丈夫か」
 南田 「知らないわよ。私の言う通りにしないと、どんどん困らせてやるわ。鍵は道に捨ててやる。あんたのやることは、私たちの信頼関係を壊す行為だもの」
 日野本 「それで困るのは自分だろうに。それに、そもそも自分がやりたい放題だから、こうなっているんだよ」
 
 かくて、日野本は「南田ムン子とは絶対に別れよう」と心に決めたとさ。はい、どんとはれ。

 ムン子を女性に例えましたが、便宜的なものであり、男女の差別意識はありません。
 男性と女性の2種類しかいないので、どっちかにする必要があります。

 こういう女性(または男性)は、身の回りにも現実にいますね。
 「理性のかけらも無く、その時々の感情だけで行動するひと」のことです。
 なお、あくまで男女間で起こり得る修羅場を書いたもので、特に他意はありません。

 作中人物: 日野本太郎、南田ムン子、北島キム男