日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

海にまつわる怪異譚 その1

これは怪談ですが、作り話ではなく、妻が実際に体験したものです。

妻が友人4人と福井の海に行ったときのことです。
浜からそう遠くない民宿に部屋を取り、1泊しました。
深夜になり、妻がふと目覚めると、布団を並べ皆が寝ている間に人影が立っています。
どうやら老婆のようなシルエットです。
夢うつつの状態で様子を窺うと、老婆は寝ている友人たちの顔をひとり1人覗き込んでいるようです。
そのうち、1人のところで立ち止まり、なにやらブツブツ話をしています。
薄気味悪いと思いましたが、妻は眠気に勝てずそのまま再び寝入ってしまいました。

翌朝、その友人に確かめてみると、確かにその時、自分に話しかける老婆がいたとのこと。
老婆が語るには、自分はこの海で津波に巻き込まれて死んだ者だ。その時、一緒に孫がいたはずだが、離れ離れになってしまったのでずっと探しているのだという内容でした。

「オマエは私の孫を知らないか」
妻の友人は霊感が強かったので、老婆の波長と合ってしまったのでした。
友人が一心に魔除けのお祓いを唱えているうちに、老婆は去っていったということですが、去り際にこう言い残して行きました。
「これは夢でも気の迷いでもないぞよ。ちゃんとしるしを残しておくからな」

妻たちが宿を出ようとした時、玄関の前には、犬の死骸が転がっており、回り中が血の海だったとのことでした。妻たちは予定を切り上げ、早々にそこを立ち去ったという話です。
ちなみに、妻も友人も皆外国人ですので、かつて福井大地震が起こり、津波でたくさんの人が亡くなったことは全く知りません。

ちなみに、その時の友人は霊感で先を見通すことができたため、妻は自分の将来を占ってもらったのですが、妻が結婚するのはこれこれこういう相手で、子どもが何人できるというようなことを明言したそうです。
結婚前にその話を聞き、ダンナがどういう人かという段になり、「あ、そりゃオレのことだ」と合点し、私は妻と結婚しました。
妻の母国で婚姻届を出したのは、知り合ってから3ヶ月目のことでした。