日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

箱根ターンパイクにて

これも私の実体験。
学生時代、友人2人と話をしていた時に、急遽、「伊豆へ行こう」ということになりました。
伊豆には友人の家が持つ別荘があります。秋口でしたので、そこから温泉にでも。

3人で車に乗り、杉並を出発したのが夜の11時過ぎです。
途中であれこれ用事を済ませたので、箱根に差し掛かったのは深夜になっていました。
箱根ターンパイクに入ると、夜霧が立ち込めてきて、目の前が見えにくくなってきます。
山越えの頃には、5蛋阿盡通せないほどでした。

その時、運転していたのは私で、免許を取ったばかりです。
友人2人は助手席と後ろに分かれ、すっかり寝込んでいましたので、私1人で必死な思いで運転しました。
ライトの先だけが灰色の霧で、周囲は真っ暗でした。
カーブで飛び出したりしたら危ないよな。
そう思った時でした。

ライトの向こうに、突然赤い服が見えました。
私は驚きながらも、急ブレーキ、急ハンドルで人影を避け、脇を通り過ぎたのです。
上りでよかった。下りならスピードを落とせず、女性を撥ねるか、自分たちの車が脇に飛び出すかしたことでしょう。
急停車したせいで、友人2人も起きました。

「どうしたんだよ?」
「いやあ、今そこで赤いレインコートを来た女を轢きそうになったんだよ。ホントに危ないところだった」

友人たちが顔を見合わせています。
「オメーね。この真夜中に灯り1つない箱根の山中を、たった1人で歩いている女がいると思うのか」

そう言われれば・・・。
後ろを振り返ると、そこにはもちろん何も見えず、見えたのは深く暗い霧だけでした。
あれは一体何だったのか。
霧の中に突然現れる赤い服が、今でも時々夢に出てきます。