日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

「声を出す」

巨人から横浜に移籍することになった工藤投手は、唐突な話で、なおかつ年棒がかなり下がることになるにもかかわらず、実に淡々としていた。
既に40代でもあり、気負いというものが全く無くなったのだろう。

日々の感想や今後の心構えを聞かれた工藤投手は、「まずは声を出すことから」だと語っていた。
さすが一流のスポーツ選手だ。「道」の何たるかをよくわかっていらっしゃる。

あいさつをし、練習で声を出す。
それは「あいさつ」や「声」そのもののことではない。
「声を出せ」とは、腹から「声を出せる」ような姿勢(心構え)でいろということであり、ものの考え方を象徴的に言ったものだ。
ひとつ1つのステップをけして手を抜かず、丁寧にやり遂げる意志や姿勢を表すのが「声を出す」ことに繋がっている。工藤投手が、20何年の間、1つのことに打ち込んできて、絶対に手を抜かずにやりとげて来た者だからこそ、確信を持って言える言葉だ。

大して努力をしていない者は、不始末を環境のせい、社会のせい、と「自分ではない誰か」のせいにするので、すぐに底が見える。
これに対し、心身を削り、努力を踏み固めてきた者は、常に「どうすれば自分が磨かれるか」を考えるようになる。
これは何もスポーツや武道の世界に限ったことではない。

気負わず淡々と、やるべきことをきっちりとこなす姿勢で暮らせれば、楽しみながら生きてゆくことができることだろう。
「声を出す」は、とても良い言葉だった。
ナカムラ選手がこれをわかるようになるのは、15年くらい後になるのではないかと思う。