

◎否応無しに季節は変わる(449日目)
わりと天気が良かったので、いつもの神社に行った。
日の陽射しがないと、自分の状態を確かめることが出来ないのだが、晴れた平日なら、被写体に人が入らず、撮影にはちょうど良い。
ところが、既に陽の落ちる時間帯が早くなっており、午後三時頃には境内一帯が日陰に入ってしまうようだ。
直射日光とフラッシュが交差している撮影環境で、かつガラスに映る姿を撮影するのが、最も効果的な手段なのだが、光量が不足してしまった。
あの世の者が「自分をどう見ているか」で、自身の生気の強さが分る。だが、これでは自身の服の色さえ分らない。
だが、何となくだが、少しこの世の滞在許可は下りているような気がする。
もちろん、ひと月とかふた月という限定的な期間の話だ。
心臓はよくよく気を付けないと、例年通りの「冬の危機」が始まっている。
たぶん、危機の本番が来るのが十二月だから、あと数週間のうちにもう一章分の原稿の目途を立てねばならない。
明日には『鬼灯の城』十章の校正が終わる。
今回は、再起出来るまで七ヶ月掛かった。その間は、僅か二十分もPCの前に座ってはいられない程状態が悪かったので、正直、二度は「これまでか」と観念した。
そういう状態の時には、幽霊や魑魅魍魎のような得体の知れないヤツが私の体にしがみつくから尚更だ。
人影がただの「気のせい」であることも結構あるのだが、そこにいる筈もない妖怪のような姿をしたヤツがガラスに映ると、さすがに「追い捲られている」実感がある。
だが、この通り再起した。
神殿の前で、「いざ立ち上がったら、俺はしぶとくて手強いぞ」と呟いた。