◎夢の話 第778か9夜 娘と同級生
12日の昼に30分ほど居眠りをした時に観た夢です。
我に返ると、教室の中で椅子に座っていた。
周囲には、高校生らしき男女が同じように座っている。
「どうなってんだ?」
横を見ると、隣にいたのは俺の娘だった。
「おお、リサ。トーサンはなんでここにいるんだよ。何故生徒の席に座っている。一日体験教室か?」
すると、娘は眉間に皺を寄せて、小さい声で答えた。
「オトーサンは『もう一度高校からやり直す』って言って、この高校に入ったじゃない。忘れたの?」
「え。それじゃあ、俺は正真正銘の高校生ってわけなのか。まさかそんなことを考えるとはな。時々、自分のことを『バカか』と思う時があるが、今はまさにそれだ」
しかし、そんな経緯まですっかり忘れているとは、俺もトシを取ったもんだ。
間髪入れず、ガラガラと教室の扉が開いて、教師が入って来た。
「ありゃ。あれは俺が高校生の時の英語の教員じゃないか。まだ生きていたのか。生きてりゃ、今は80歳を超えているだろうに」
この教師。変わり者だったよな。
マーチン・ルーサー(キング牧師)のスピーチを聴かせたり、百年近く前の高校の英語のテストを見せたりと、「我が道」を行っていた。
そのおかげで、大学の外人講師のブレイクワエイという教員がこの演説を学生に聴かせた時に、これが誰かが分かったのは俺一人だった。
そんな回り道は、進学校じゃあしないもんだ。合格に向けて最短距離で進む。
教師は例によって世間話を始めた。
それで俺は少しくほっとした。
「ああ良かった。昔通りだな。まさかこんな後ろの席にいるひねくれたオヤジジイに当てたりはせんだろ。高校レベルの授業なんか、はるか昔に忘れてらあよ」
それも、よりによって隣には娘がいる。
ここで教師に指されて大恥を掻いたら、娘の手前、いっそ情けないことになってしまう。
「ところで」
と教師が世間話を切り上げる。
「じゃあ、次のページを読んで、概略を説明して貰おうか」
ぞぞと嫌な予感がして、視線を上に上げると、ちょうど教師と視線があった。
「じゃあ、君。君がやって。何君だっけ?」と名簿を見る。
おいおい、俺かよ。よりによって、中高年で頭の働かない奴に当てるわけ?
何なら、隣の娘に当てろよな。
ここで俺は隣の娘に囁いた。
「おい、リサ。お前の教科書を貸してくれ」
人生最悪の瞬間が来た。教科書も持ってこないサイテー生徒の役柄かよ。
ま、仕方ねえや。
「この先は俺の得意の法螺と嘘と出まかせで凌ぐか。どう見ても今の俺より、この頃のこの教師の方が年下で真面目そうだし」
ここで覚醒。
オヤマ先生、どうも有り難う。と書いて、「コヤマだっけか」と思う痴呆老人でがんす。
俺はもう「相当来てる」なあと実感した。
俺はこんなアニメみたいな筋は嫌いだが、毎日、夢に幽霊が出て来るのだから、こっちの方がまだはるかにまし。