◎面子銭 吉田牛曳
前回の紹介のところで、この2品が漏れていた。
厚手のつくりで、「面子銭」と呼ばれる玩弄銭になる。
こういう銭種には新しい物はない。明治30年代には紙製の面子が普及し始めるが、これが出ると、金属製は総て放逐された。製作費用がやはり全く違い、紙製の方が安価に出来たということである。
遊び方も金属製、紙製とでは、かなり違うようだ。
私の実家は岩手の中央部なのだが、子供の頃に、家の納戸に50㌢角の木箱に古銭が詰まったものが置かれていた。
その中に20個くらい厚手の品があったのだが、半分くらいは無紋だった。
後に中学生くらいの時に、「どれくらいの価値があるのか」と思い、コイン商に見せると、「はい千円ね」とお札を一枚渡された。
後で考えると、勿体ないことをしたと思う。その時は知らなかったが、南部天保も混じっていたから、業者は相手が子どもと見て掠め取ったのだろう。
少なくとも明治前半はありそうだが、輪側を見ると、まだもう少し古いかもしれぬ。
こういうのが家にある人は、ネットに千円で出したらダメだ。
状態にもよるが、下値は5千円からスタートで良い。
ま、2枚目はやや製作と状態が劣る。
絵銭の多くは明治大正昭和作だが、面子銭は割と古い方の品になる。