◎コレクション道あれこれ マッチラベル
部屋を整理していたら、切手帳が6、7冊出て来た。中には明治から昭和40年代くらいまでのマッチのラベルが入っていた。
かつて経営者時代に、何か面白そうなものがあると何となく買い取っていたが、これもその一つだ。
ある高齢男性が亡くなり、娘さんの許にラベルのコレクションが残された。
そこでその娘さんが電話を掛けて来た
「コレクションを買い取ってくれませんか」と言う申し出があり、割と良い値段で引き受けた。
3千枚はあったと思うが、台帳に貼り付けてあったので、微温湯に浸けて糊を剥がした。
しかし、戦時中、昭和17年から20年のものは紙の質が悪く、すぐに溶けてしまった。
状態を損なわずに保存できたのは2千枚くらいではないか。
昭和40年代の終わりには、箱にラベル紙を貼り付けるのではなく、箱そのものに印刷するようになったから、コレクションのジャンルとしてはそこで終わってしまった。
ラベルごとの正確な製作年は分からないが、時代色が各々はっきり出ているので、かなり面白い。
最もきれいで、美術的にも優れていると思うのは、大正時代のものだ。
やはりどこかデカダンスの香りがする。ロートレックを思わせる石版画風のもあるので、驚かされる。
とりわけ大正3年からの数年間は、好景気の真っただ中だったから、自由な気風に満ちていた。
同じ好景気でも平成バブルとは全然違う。
この時代に青春時代を送ったら、さぞ楽しかっただろうと思う。
これを集めるのには、前蔵主はあちこちでマッチを貰い歩く生活をして、40年から50年はかかったと思う。何事にも「道」はある。
この他に専売公社の未包装煙草パッケージ1千枚というのもあるから、煙装コレクションとして「鑑定団」に出られると思う。