◎夢の話 第784夜 誰もいない
10日の午前4時に観た夢です。
外出制限が浸透し、都心に人が減った。
俺は歩道を歩いていたのだが、人はまばらだ。
広い道を一人で歩いて行くと、某国の大使館の近くを通り掛かった。
ゲートの上に国旗が翻っている。
「この国旗は見たことがあるなあ。確か」
鮮やかな色の旗が風に揺れていた。
中を覗くのだが、人の気配がない。
「お上りさんみたいだが、記念写真を撮ろう」
自撮り棒を持参していたので、ゲートを背景に撮影した。
すぐに画像を開けて見る。
「あれ」
ゲートの中に人が写っている。30㍍先に五六人が立って、こっちを見ていた。
「ありゃりゃ。気が付かなかったが」
振り返って、中を確かめるが、やはり誰もいない。
「顔が写ると、インスタで使えなくなるよな」
そこで、もう一度撮影することにした。
今度は自撮りではなく、きちんとファインダを覗いて撮った。
フラッシュが光る。
「わ」
一瞬だが、十数㍍前に五十人くらいの人が集まっているのが見えた。ちょうど卒業式の記念写真みたいに、立ったりしゃがんだりしている。
「おいおい。気持ち悪いな。皆顔が真っ白だ」
ファインダから眼を外すが、やはり前には誰もいない。
「こんな都心でこんな塊のようなのが出るのか」
まさかね。気のせいじゃないのか。
画像を開けて見ようかと思ったが、まともに写っていると、それはそれで嫌だ。
「もうここから離れよう」
そう思い、ゲートに背中を向けた。
ニ三十メートルくらい歩き、そこで立ち止まる。
そこで何気なく、後ろを向いて、1枚撮影した。
その場を離れたつもりだったので、「大丈夫だろう」と思ったのだ。
フラッシュがパッと光る。
するとその光に照らし出され、五六百人の姿が浮かび上がった。
最前列はもう俺に手が届きそうな位置にいた。
「うえ。ついて来たのか」
目の前の男が口を開き、何事かを言おうとした。
しかし、声が出る前に、俺は男の言う言葉を悟っていた。
「助けて」と言うわけだな。
ここで覚醒。
ただの夢なので書けないが、国旗からすると、この大使館はC区にある。
たぶん、この周囲で大規模感染が起きるのだろう。そんな内容だ。
でも、これからは、こんなのはどこでも普通に起きてしまいそう。