◎夢の話 第920夜 洪水
7日の午前三時に観た夢です。
我に返ると、俺は車のハンドルを握っていた。
これから仕事の用事で、首都圏に南下しようとしているのだ。
「あと二百キロもないから、もうじきだな」
ところが、急に雨風が強くなって来た。すぐに前が見え難い程になったので、最寄りのサービスエリアで休むことにした。
すると五分もしないうちに、「通行止」の表示が出た。
「台風でも来てたのか。ずっと走って来たから知らなかったな」
一時間ほど休憩したが、「通行止」の表示が消えない。
たまたまこのサービスエリアにはETC出口があったから、一般道に下りてみることにした。
山道を走っていると、雨風が収まって来た。
「急に止むところは、やっぱり台風だったか」
怖いのは山崩れだが、ま、これくらいなら何とか。
だが、どこで道を間違ったか、何時の間にか細い一本道に入ってしまった。
幹線道路と並行して走る道だとは思うが、まったく知らぬ道だし、人家も見えない。
携帯は繋がらなくなっているし、カーナビも誤作動を繰り返している。
「嫌な感じだな」
道の脇に地点表示が見える。
「※※市▽◆かあ」 (具体的な地名だったが、夢なので隠す。)
ここで不意に前が開ける。
ここからは川沿いの道になるはずだが、しかし、その川が氾濫し、道が無くなっていた。
もはや前には進めぬから、後ろに引き返し、山側に向かうことにした。
「しかし、あれは増水する最初の頃だ。これからどんどん水が出て、下流ではもっと大変なことになるかもしれん」
台風の影響で、役所がここの状態を把握するのは難しい。
幾度か電話をしようとするか、基地局が壊れたのか、まったく繋がらない。
「これって、俺自身もかなりヤバい状況だよな」
増水した水は一気に下流に向かって来る。
俺は上に向かう道を探せずにいた。
「ああ良かった。道がある」
曲がり角の先に坂が見えたので、急いでそっちの道に入った。
すると、また急に視野が開けた。
そこで広がったのは、大きなダムの堤防だった。
だが、そのダムの水位が急に上がったのか、既に水が堤防を越えて溢れ出ていた。
「やや。こんなことが起きるものなのか」
普通はこうなる前に水を放流するよな。
ここで俺は今の事態に気付く。
「ツイてるな。もし放流されていたら、俺はとっくの昔に流されている」
だが、喜んだのも束の間のことだった。
ダムの壁に穴が開き、そこからシュウッと水が噴き出しているのを見付けてしまったのだ。
「おいおい。堤防壁に穴が開いたら、数分も持たずに決壊するじゃないか」
俺はここで、車の外に出た。
その場から逃げようにも、進む方向は下に向かう道しかなく、それはダムから流れ出た水が押し寄せる先だったからだ。
ぐずぐずと堤防が崩れ始める。
「この下流には、一体、何十万人が住んでいるんだろ。気の毒に、何も知らぬまま流されてしまうだろうな」
でも、真っ先に流されるのは俺だった。
ここで覚醒。
夢として眺めると、「水」は感情の象徴だ。情動的な傾向のある者は頻繁に「水」の夢を観ることになるが、当方もその例に漏れない。
だが、夢の中には具体的な地名が幾つか出て来る。そしてそれは当方が一度も言ったことのない場所になっている。
当面は模様眺めだが、悪霊の言う「祟りの雨」と関連があるのかどうか。