◎夢の話 第978夜 心神耗弱
第977夜の後、再び眠りについた直後に観た夢です。
我に返ると、古びたアパートの一室にいる。
大学生の時に住んでいた部屋に似ている。
(夢を観ながら、それを冷静に眺める自分がいる。ここでそのもう一人の自意識は、夢の診断を始める。この夢のアパートは、私の身体の象徴で、古びてポンコツな作りなのは実際の私がそれだという意味だ。)
私は台所に立っていたのだが、急に扉を叩く音が響いた。
そこで、居間にいる誰かに声を掛けた。
「手が離せないから、出てくれないか」
相手は息子のような気がするが、はっきりとは分からない。若い男だ。
若い男が入り口に行き、ドアを開けて応対した。
「大家さんに言われて、水漏れの点検に来ました」
水道屋さんだったのか。
床を見ると、確かに水が溢れ、ぐちゃぐちゃに濡れていた。
でも、今は不味いよな。
「三十分くらい後で、また出直してくれるように言ってくれ。今は無理だな」
そう叫んで、前に向き直る。
目の前に台所のシンクが見える。
「うわ。何だこりゃ」
シンクには、女の生首が置かれており、その首が私を見ていた。
水が溢れ、床にだらだらと流れ落ちる。
(夢の中の「水」は感情を表す。この生首の主の感情がほとばしり溢れているのだ。)
シンクに溜まった水の中に、長い髪の毛がゆらゆらと揺れ、へりからはみ出して垂れ下がっていた。
「こりゃ、もしかして」
石の柵から垂れていた「髪の毛」ではないのか。
私はここで自問した。
「まさか俺がこの女のことを殺して首を切ったのか?」
いや、そうではない。
「となると、こないだから、俺に向かって、盛んに訴えていたのか」
この二週間は、ことに具合が悪い。
ここで夢判断の「私」が言う。
この解釈はふたつだ。「俺の心身が耗弱しており、そのせいで妄想や幻覚を観るようになっている」のか、あるいは「あの女が俺に付きまとっている。体の不具合もそのせい」ということだ。
ここで覚醒。
体全体が、まさに「氷のよう」。底知れぬ怖ろしさを感じる。
ま、具合が悪いのは確か。しかし、大腿の痛みはすっかり取れていたのに、目覚めたらまたぶり返している。
画像の不審な影から見ると、「両方」だという見方もアリそうだ。
少なくとも「心神耗弱」は確か。極端な妄想や幻覚が始まっている。
「女」は誰かに殺されて棄てられた者のようだ。