◎チキンサンド
タイやマレーシアの列車に乗って旅をしていると、駅ごとに物売りが入って来る。多くは食べ物だが、土産物もある。
田舎の駅に停車すると、駅舎の近くに鶏の半身(または開き)を甘しょっぱく焼いたのを櫓に掲げて数十個も掲げて売っている。
この辺は海辺で干物を干している光景にそっくりだ。
この鶏は、日本の照り焼きよりもさらに一段甘い味付けになっている。
明け方に目ざめ、「あのチキンは、たぶん、サンドイッチにすれば抜群に美味しいよな」と思い立った。
まだ4時前だったので、時間は十分にある。
実際に作ってみることにした。
急にあれと同じソースは作れないので、市販の照り焼きソースやバーベキューソースを混ぜ、ザラメを加えて甘めに味を直した。
あとはじっくり焼きながら、ソースをからめるだけ。
東南アジアでは、鶏や豚はじっくりと焼き上げるが、日本人の舌だと「火の入れ過ぎ」に感じる。だが、味付けの濃いものは、きっちり焼き上げた方が向いている。
バンズはいかにもサンド風の固いヤツだ。さすがにパンを焼くところからは始められぬので、これは買い置きのもの。
間に挟むのは、レタスでは味を損なうだろうから、さらしタマネギにした。そもそも、生野菜は食べられぬので(食事制限)、水に晒したものを少々だけ。
画像で白く見えるのはタマネギだ。
トマトは食感がベチャベチャになるのでパス。
チーズも微妙だが、ひとまず入れてみることにした。
早速食べてみたが、抜群に美味い。
当方はソースをほとんど使わない(使えない)が、タルタルソースの味付けでも行けるし、アジアっぽく香辛料の効いた味でも良さそう。
だが、鶏の味が濃いので、それがストレートに伝わる方が美味いと思う。
さらに良い点は、レンジでチンしても美味いということだ。
冷たければバンズが固く、温めると柔らかくなるから、好みに対応出来る。
このチキンサンドを屋台で売りたいぞ。
今回、大発見したのは、レタスみたいに「やや自己主張のある」素材は、主役を損ねることがあるということだ。
船頭多くして船陸に上がる、とはこのことか(違うか)。
ま、普段、ふんだんに肉を食ってれば、体が野菜を欲する。
そういう背景も影響しているとは思う。
当方は肉も野菜も食べないので、各々の味を強く感じる傾向があるようだ。
ついでに、冷蔵庫を覗くと、昨夜作った「おからとひじきの和え物」があった。
オヤジは大好きだが、外人妻や息子が食べるわけがない。
そこで思い付いて、「がんも」にしてみた。
おからは揚げ物には合わず、すぐに崩れてしまうので、つなぎに苦心したが、三度目でようやくまとまった。
がんもを初めて作ったが、これも抜群に美味しい。
出汁をふんだんに使い、下味をぴっちり付けていたからだろう。
味が付いているので、そのまま齧っても可。
スーパーで買って来るおでん種とは全然違う。
なるほど、出来立て、作り立ては美味いもんだ。