西関東から北陸にかけて、「かつ丼」と言えば「ソースかつ丼」だ。「ソース」と名乗っているが、出汁は醤油で、最後にソースで香りづけをする程度。
湯通しキャベツを敷き、たれを潜らせたかつを載せると出来あがり。たれづくりのコツさえ分かれば簡単だ。
薄味に仕立てて、豚肉の味を感じ取れるようにすると旨い。
キャベツも出汁を潜らせた上で、汁を絞ってあるから、そこはかとなく味がついている。
この地域に住む者にとっては、もはやソウルフードのひとつだ。
これをアレンジしたのが「ソースかつ丼サンド」だ。
「かつサンド」ではなく、味付けやコンセプトが「ソースかつ丼」のそれだから、あえて「ソースかつ丼サンド」と言っている。
キャベツだけは、湯通しするとパンが湿ってしまうので、生のままにした。味自体はあっさり系のソースかつ丼そのものだ。
問題は肉の厚さで、塊から切る時にちょうど良い頃合いの厚さにする必要がある。とんかつ用では厚いし、生姜焼き用では薄い。
仕方なく、生姜焼き用のを二枚重ねて一枚に仕立てている。
この手法だと、硬いもも肉でも柔らかく仕上がるというおまけもつく。
「ソースかつ丼」は見た目がシンプルで味が無いような外見だ。埼玉、群馬、長野あたりだと、養豚農家が多く、豚肉の下が肥えているから、肉の味が劣っていると相手にして貰えない。
街道沿いの「大衆食堂」で、生姜焼き定食を食べ、「豚肉の質」に驚かされることがある。
「ソースかつ丼」が薄味なのは、そんな風に「豚」舌の肥えた者の要請に応えるための措置だと思う。
オヤジ料理なので見栄えはイマイチだが、味の方は鉄板だ。