◎今日の難読漢字は 「鸚鵡」
この日の病院のエレベーター内の出題は「難読漢字」の方だった。
問題は「鸚鵡」だが、いかんとも遊べぬ言葉だ。
知っているか知らぬかという反応しか出来ない。変化させようがないのだ。
知識の量を競うだけなら、テレビの「T大ナントカ」みたいなクイズ番組と同じで、まったくつまらない。
だが、この言葉は読むのは容易だが、なかなか書けない。
学生の頃に、この字を見る度に、こんなイメージをした。
「ニカイの女が武士を見送る」
建物の二階の窓から女が武士を見ている。
その女の隣、手すりの上に鳥が止まっている。
女が武士に賭ける言葉は、きっと「また来てね」だ。
要するに遊郭の二階から、去って行く客に声を掛けているのだ。
女は「また来てねえええ」と男に手を振る。
その隣で、鳥がその女の言葉をオウム返しに繰り返す。
「マタキテネ」「マタキテネ」
どうだ。一発で書き方を覚えただろ。
「ニカイ」でジーサン(人名)の顔を思い浮かべてはならない。言葉全体の光景が消えてしまう。
目に鮮やかな赤い襦袢のきれいな女性の方がイメージが鮮烈で、思い出しやすい。