

◎着信音の謎
時々、回線の繋がっていない受話器に着信する話を書いている。
実はこれまでは半ばはネタに近く、実態は電子信号に近い「チリ」または「プリ」というごく短い音だった。
しかし、先程、「チリリン」と確り鳴ったので、今回、真面目に調べることにした。
まず機器環境から。
仕事机の周囲には、受話子器が二台置いてある。
ひとつは家庭用で、もうひとつは業務専用回線だ。業務用は通話用とファクスの二回線だったが、その通話用の方。
この春に経費節減のために、業務用回線を1回線に集約し、受話機器を交換した。
その際、通話用の方を解除し、子機の無いFAX兼用電話にしたため、仕事部屋の子機は回線が繋がらなくなった。
ところが、全部を除去するには、机を動かす必要があり、これが面倒なので、子機をそのままにしてある。要するに電源は繋がっているが、回線はなし。
これが画像の状態だ。
その「回線の繋がらぬ受話器」のベルが時々鳴る。
鳴るタイミングも決まって「あの世」系の記事を書いたり、画像を整理している時だ。
何だか、やな感じ。
だが、最初の「これから信号が来ますよ」という合図(?)の「チ」「プ」という一拍だけなので、笑って済ませられる。
「こんな変なことがあって」と半分はネタにもできる。
だが、「チリリ」まで入ると、もはや呼び出し音だ。
ここで、かなり前に、あるタレントがテレビでしていた話を思い出した(誰かは忘れた)。
「家でこっくりさんをしていると、幾度か無言電話が掛かって来た。不審に思い、着歴を調べてみると、それは家の中にある携帯電話からだった」
携帯から家庭用に掛って来たのか、携帯に家庭用から掛って来たのかは忘れたが、要するにその場にいた者ではない「誰か」が「同じ家の中から」掛けていた。
姿の見えぬ誰か(または何か)が家の中にいたということになる。
いわゆる怪談の類だ。
それと似たようなことが現実に起きているのか?
ここで、不審電話のある方をよく見ると、やはり回線自体は繋がっていないのだが、左上には「電波を検知している」というサインが出ている。
携帯電話では、契約を解除した後も、「家の中くらいの距離なら通話できる」という話がある。短距離ならトランシーバー替わりになるという説だ。
きっとそういう電波的な関係だろう。
だが、これは何の説明にもなっていない。可能性自体が証明にはならないからだ。
「宇宙人がいる」を証明するには、当の宇宙人を出して見せる必要がある(例え話)。
要するに、この受話器(回線無し)に対し、外から電話を掛けることが出来れば、初めて電波の問題だと見なすことが出来る。
以前、A森県の別荘から繰り返し緊急コール(無言)が入り、消防隊が急行したが、そこには誰もいなかった、という出来事があった。
この際、何らかの専門家が「電話線に木の枝などが当たり、それがたまたま119の呼び出しになった」と解説していた。
これも何ひとつ科学的説明になっていない。
「電話線に刺激を加えることで、ダイヤル信号が送られることがある」を再現して見せる必要があるわけだが、最初の「1」からして無理だと思う。
「たまたま」説は「幽霊が誰かに来て欲しくて電話を掛けた」という迷言よりも、非科学的な説明になっている。
ところで、真面目に調べようとすると、えてして、異変(またはその「もどき」)は消えてなくなることが多い。
「あの世」と繋がる電話なら、何時か母と話せるかもしれぬから、むしろ電波の問題でないことの方が嬉しく感じる。
しかし、着信音が鳴り、受話器を取ってみたら、向こうから聞こえるのが「助けて」だったりすると、さすがにゲンナリすると思う。回線が繋がっていないのだから、声を出すのは、ほぼ幽霊だ。しかも煩わされる方のヤツだから、楽しいわけがない。