日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎無常の月

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九月二十日午後五時の月

無常の月

 家人が「息子の物を買いに行く」と言うので、運転手を務めた。

 午後から出掛けたが、家人が店に入ると、待てど暮らせど戻って来ない。

 「おいおい。ダンナの物なら五分で終わるのに」

 ま、世の母親はそんなもんだ。

 

 帰路は真っ暗。

 空にはまん丸の月が出ていた。

 「そう言えば、もうこの季節だな」

 この時期の月は一年で最も大きく、明るく感じる。

 だが、すぐに欠け始め、同じ顔を見せることをしない。

 そこで、下語を「あのひとと同じだなあ」と流すと、中世の短歌になる。

 

 ところで、江戸時代がおよそ三百年近くあり、「すんげえ長い」気がするが、平安時代はそれより百年近く長い(390年)。

 今に伝わる平安の歴史が宮廷の話中心だから、江戸より短いような気がするだけだった。

 明治維新後、百数十年が経過したから、江戸はその二倍と数十年。これは自身尾人生の時間感覚と重ねると、何となく想像がつくタイムスパンだ。

 だが、平安時代は維新以後の三倍だ。

 あちこちでよく分からぬ遺跡が出たりするのも当たり前だと思う。

 誰のものとも分からぬ舘跡がそこここにある。

 この月は、そんなことまで思わせてくれるようだ。

 

 追記)ちなみに、ジャンルの違う話だが、こんなごく普通の景色を撮影する時も、ファインダを覗く時には、「顔や眼を出して、せっかくの気分を壊してくれるなよ」と声を掛けてから撮影している。いつ、どこで割り込まれるか分からぬためだ。