日刊早坂ノボル新聞

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◎中山記念の馬番バイアス (その2)

中山記念の馬番バイアス (その2)

 前回の続き。

 馬番別の「着順の加重平均値」を観察するには、各年の出走頭数の違いを考慮する必要があるので、この値で母数を補正すると、票1の通りとなる。これが「訂正後の着順の加重平均値」となるが、表現が紛らわしいので、端的に仮の「馬番バイアス」と呼ぶことにする。まだ到達していないが、目的地はそれだ。

 元の「馬番バイアス」と「訂正馬番バイアス」の値を比較すると、傾向的には、さほど大きく変わっていないことが分かる。前の5、4、3などが上位に来る。

 

 次に、有力馬がその馬番に入ることの影響を減じるため(バイアスの実質化)、出走馬がどれくらい有力だったかを示す指標を探すと、例えば「単勝オッズ」などがそれにあたる。

 単勝オッズは、売り上げの中のその馬の占める割合が基本になり算出されているから、正確には「購買客が有力だと思う馬」だが、「馬の能力」の代替指標としては使える。馬の能力要素を購買客側が見た評価づけだから、少し間接的だが、分かりよい単一のものさしになっている。

 まず、「人気」の数値を「人気が高ければ、大きくなる」値に変換する必要があるが、これには本来のオッズの意味から見て、逆数すなわち1/Nを観察すればよい。

 これが各開催年別に「馬番別のオッズ指数」になる。

 図2は、過去十五年平均の馬番別オッズ指数だ。

 これによると、オッズ指数が高いのは、1、2、3、5、4の順で、要は内枠の馬番の水準が高くなっている。

 「中山開催二日目のAコースは、内枠が有利」ということが購買客に認知されているわけだが、まだこれには馬自体の持つ影響が残っている。これは「たまたま有力馬がその馬番に入った」という意味だ。

 それを頭に置きつつも、ひとまずは、平均オッズ指数と馬番バイアス(加重順位得点)との関係を見たのが、図4だ。

 この場合、馬番バイアスの値を、平均オッズ指数と同じ性質の数値に改め(AV=1に指数化)してある。端数丸めのため、再度平均を出すと1にはならぬので念のため。

 

 これは「オッズ」に対し「着順」がどう応えたかを示す指標で、概ね、Y=Xの値を上回った分について、「能力を着順が上回った」と見なすことが出来る。

 裏負の右側にあればあるほど、オッズの高い(人気のある)馬番で、上にあればあるほど着順(順位得点)の高い馬番になる。

 Y=Xの水準値よりも高い位置にあれば、「オッズに対し、実際の着順が上回った」と見なすことが出来る。

 

 この評価(数量化)の仕方は、様々あり、イ)距離を計算する方法、とロ)比(要するに角度)を計算する方法の二通りがある。

 ここでは、ロの手法で観察してみる。

 Y=aX+bでb=0の時には、aはY/Xで算出できるので、これを「達成度」として値を比較したのが、図6だ。

 ここで何が分かるかと言うと、人気に対し実際の着順がどのように対応したかという意味で、この数値が大きければ、「意外性のある結果をもたらす」馬番だったということになる。

 もちろん、これはあくまで「その馬番に対する期待なりの」という限定的な意味だ。

 

 以上を簡潔に言うと、中山記念の過去十五年間において、

 「5、4、3については、オッズが高く、それに見合った結果を出す馬番」である。

 また、10、9は、人気以上の好成績を示す馬番なので、これが4~8番人気くらいに来た時には、注意が必要になる(概ね人気を着順が上回る)。穴馬が9、10の馬番ならヒモで押さえとけ。

 

 競馬関係者や予想家が考える方向性とは異なるので、少し面白い部分があったと思う。統計をいじると色んな角度から眺められる。

 当てに行かぬ時には、物事を冷静に判断できるものだ。