◎病棟日誌 悲喜交々 6/29 「かなりヤバし」
木曜は通院日。
相変わらずしんどくて、とりわけ治療が終わり、食事をした後から体が重くなる。
たぶん、消化器に血が集まるせいだとは思うが、平地を歩くのもツラい。
通常の治療でもキツい時はあるが、治療終盤から血圧うが下がるからそれとはパターンが違う。
原因がよく分からぬが、具合いが悪い。
ま、周りを観ても同じような患者ばかり。
七十台の女性患者には、治療後に立てなくなる人もいる。
八十台の白髪の女性患者もいるが、車椅子で入院病棟とこの病棟とを往復している。苦しい筈だが、声を掛けるといつもニコニコしている。
こっちは性格だな。
白髪の具合が母を思い出させるので、いつも丁寧に声掛けをしている。
苦痛があるなら取ってあげたいもんだ。
だが、この女性はまだ死なない。もしかすると当方よりも長く生きるかもしれん。
当方自身が末期症状に近づいているから、もはや古参患者数人を追い越して先にくたばると覚悟する。
最近、自分が「滅びの過程」にあるためか、つくづく「命は美しい」と思う。
動植物の総てが生きようと思い、必死で活動するのだが、その一つひとつが美しい。
庭木の新芽の剪定をしながら、「生きていること自体に意味はあるのだ」と感じる。
夕方から酷い下痢をして夜の内に七回くらいトイレに駆け込んだ。どこから出るのかと思うほど水便が大量に出た。
原因がまるで分からないが、体力が落ちているから、どこからでもどこにでも異常が起きる。
せっかくこの日の悪態を考えていたのに、夜中じゅう苦しんだせいで忘れてしまった。
だが、「どっこい、まだ死んじゃいません」って。
這って歩きながら、「ショートショートなら書ける」ことに気付いたので、早速始めた。
ネタは「夢の話」で千本以上の記録を取っているから、幾らでもある。乱発してれば、採用されるものも出て来るだろうと思う。
最近のブラックジョークもしくはブラフはこれ。
「おめえ。俺はこんな状態で死にそうだが、こんな俺より先に死ぬなよ」
脅し文句パターンではこっち。
「俺は死にそうだが、こんな俺よりかは長く生きられるだろうと思ったら大間違いでさ」
大したことが出来なくなったので、せめて「揺さぶり」だけは撒き散らそうと思う。
ただでは死にゃしません。