日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎病棟日誌 R060525 「何故か美味い」

病棟日誌 R060525 「何故か美味い」
 土曜は通院日。
 この日はどういうわけか時間の進みが遅く感じられる。
 寝て過ごす時間を潰すのに困ってしまうからだ。テレビは詰まらないし、どういう訳か土曜日はスマホが上手く繋がらぬから、ようつべも観られない。ビデオが壊れてからは、映画も観なくなったので、とにかく手持無沙汰だ。
 この日の担当看護師に「土曜は拷問だわ」と愚痴をこぼした。
 何せ寝返りどころか身動きひとつ出来ぬ状態で何時間も過ごさねばならない。

 この日の病院めしはカレー。
 カリウムやリンを落とす必要があるから、野菜も肉も下茹でしてから作ってある。入院患者用なので香辛料もほとんど入っていないのだが、これがどういう訳か美味しい。
 母ちゃんカレーとも違う味で、薬膳ぽい仕立て。カレー粉ではなく何か代替の味付けをしている。
 ここの病院は食事が割合美味くて、麻婆豆腐なども「美味しい」の域だ。豆板醤を使わぬし、肉も辛みもほとんどない上に、和味噌ベースで味を作っている。
 「これはもはや麻婆豆腐ではなく、味噌豆腐だ」と思うが、体に優しい上に割と美味しい。

 使える食材が限られているのに、食えるものをこしらえるのは、よほど作り手のセンスが良いということだ。
 栄養士と厨房のチーフの連携が取れている。
 すぐ1キロ離れたところに、循環器の専門病院があるが、そっちは「飯が不味い」ことで患者仲間では有名だ。
 「耐えられるのは三日まで」と噂される。
 1週間以上、入院しなくてはならなくなったら、食事が拷問になると思う。栄養士に言われた献立を、計量カップで測って機械的に作れば、ああいう味になると思う。
 生き死にが懸かる間は、飯のことなど眼中に入らぬが、峠を越えると食欲が出て来る。その時に「豚飯」を出されると、さすがにゲンナリする。
 「医療の質」と「(患者)生活の質」にバランスが取れてくれると助かる。

 病棟で最も食の細い患者と言えば、トダさんなのだが、この日は割合食べていた。
 「ここのカレーは少し食べられるんです」との由。
 「食べられるものを食べて、体力を付けましょうね」と励ました。
 トダさんの食を細くしているのは、子どもの家を順繰りに回って世話をして貰うようになったことへの嘆きや孤独感だ。
 それなら、言葉をかけ励ませば、無用に人生を切り詰める気持ちが薄れる。

 あともう一つ、本来の家には、八十台で死んだお祖母さんが今も居座っていると思う。それを祓えば、飛躍的に体調がよくなる。病気の97%は心と体が原因で起きるが、人によっては、それ以外の影響を強く受ける者もいる。
 当方もその一人だが、悪影響はすぐに祓うように心掛けているので、これまで生きて来られた。もちろん、違いが分かるようになるまでは、もの凄く習練が要る。
 殆どの人には必要ないが(どうせ分からない)、当方やトダさんには必要な心得だ。

 トダさんの表情を見ただけで、影響を受けやすい人だと分かる。