日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第87夜 不倫 その2

門をくぐると、そこから玄関までは優に100辰呂△蠅修Δ世辰拭

「大邸宅だね」
「夫の家が代々の地持ちだっただけよ。会社は名目だけで、今はその財産を食い潰しているようなもの」

池の周りをぐるっと回り、ようやく玄関の前に着く。
扉を2回開けると、ホールがあり、正面に階段が見える。
2階はホールを取り囲むようにテラスが張り出している。
ああ、これは見たことがある。「風とともに去りぬ」という古い映画に出てくるアメリカ南部の豪邸の中の情景だ。
主演は確かスカーレット・オハラという女優だったな。

「少しお待ちくださいね」
レイコはそう言って去っていった。
私は18、19歳くらいのメイドに案内され、ホールの隣の小部屋に入り、ソファに腰を下ろした。
入れ替わりに、年老いたメイドが現れ、サイドテーブルにレモンソーダを置いて行った。

30分近くは待ったろうか。
知らず知らず、居眠りをしていた。
レイコが私の手の上に冷たい手を乗せたらしく、ひゅっと目が覚める。
「夫は2階におります。こちらへどうぞ」

ホールに戻り、階段の下まで行く。
うへへ、この急な階段はざっと40段はありそう。
「ごめんなさいね。基は大正時代の建物なのよ。ほとんど手を入れたけど、この階段だけはそのまま」

ふうふう言いながら、階段を登る。
上がってみると、まっすぐ奥に大きなドアが見える。

その奥の部屋が主人の部屋で、中に入ると、大きなベッドに男が横たわっているのが見える。
予想に反し、その家の主人はまだ若く、レイコより何歳か年下のようだ。
こんな代々続く旧家の主人なら、老人が自分よりかなり若い連れ合いを貰っていると勝手に決め付けていたのだ。

眼をつぶったままの男を診察する。
もちろん、どんな病気かはサッパリわからない。土台、私はヤブの部類だし。

「ペテルスブルグ症候群よ。もう3年間も寝たままなの。時々眼を開けて、何か言いたそうなそぶりをするけれど、すぐにまた眠ってしまう」
ペテルスグルグ症候群?一度も聞いたことのない疾病だ。
「とりあえず、起き上がって活動できないことだけは確か」

「で、このオレに何をしてくれと」
いつの間にか、口調が昔に戻っていた。(続く)