日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

TPPの解釈

TPPに加盟したらどうなるかは簡単なことです。
農業就業人口は、いまや人口の数パーセントで、年々減少しています。
これは、農業では生活が成り立たないからということにつきます。
 
関税がなくなり、安価な農産物が入ってくるようになると、大半の農家は間違いなく農業を止めてしまいます。
やればやるだけ赤字が増える仕事なんて、誰もやりませんよ。
 
TPPの本質は、単に1次産品を抱える国が、自国の産業を有利に運ぶためのものです。
最大に恩恵を蒙るのは、やはりアメリカですね。
 
日本の食料自給率は10パーセント台にまで落ち込んでしまうかも。
そうなると、石油と同じような状況となってしまいます。
資源の枯渇という問題に加え、産油国の都合で、ガソリンや灯油の価格が乱高下していますが、それと全く同じ状況が生まれてしまいます。
ガソリンでは、今月の130円/㍑が、来月は180円になるなんてことは、当たり前。
石油はともかくとして、こと食料となれば、3日詰まっただけで、命に係わります。
もしそうなったら、食料生産国に対しては、完全な「イエスマン」(=属国化)と化してしまいます。
やっぱり、それもアメリカですね。
 
日本の米づくり農業は、戦後はずっと統制下あり、「沢山作ってはダメ」という方針できました。生産力を高め、安価な商品を大量に提供するという市場原理からは、かけ離れています。よって、今の農業の状態は、農家の経営努力が足りなかったわけでは勿論ない。
今さら、農家・農業の再生を論じた所で、その実現は不可能で、いまや農業は「座して死を待つ」だけです。
 
国内に統制があるのに、国際的には自由化を進める、なんてことが成功するわけがありません。
まず行うべきは、国内農業生産の自由化からでしょう。さらに、農業生産は国防そのものなので、あらゆる規制を緩和もしくは撤廃すべきです。
農業所得は非課税とする。農地の相続には課税しない(ただし転用すると課税)。
そこまでやらないと、TPP以前に農業は滅びてしまいます。
 
韓国はTPPには真っ先に参加を表明しました。
この理由は明確で、既に食料自給率が20%内外だから。要するに、状況は今と大して変わらない。
韓国人の学生に訊くと、「いずれにせよ、貿易で経済を成り立たせていく必要があるので、いまさらどうしようもない」という答です。
多少失礼な言い方をすれば、中国の支配下にあった長い歴史があり、「属国慣れ」しているのかもしれません。
 
菅内閣の最大の誤りは、子ども手当てでも政治とカネの問題の処理でもなく、盲目的にTPPに追従しようとしているところです。
まずはTPPによって、どういう効果が生じるかを丁寧に調べ、「こういうことではないか」とアメリカに向かって意見する姿勢が重要では無いでしょうか。
ま、この政府に期待しても無理だろうというのは、国民の多くが感じている通りだろうと思います。
しかし、日本国民の最大の不幸は、へっぽこ政府の替りがないこと。
国民を舐めきって、政権を無くした自民党に、戻すことを考えただけで、もはやウンザリ。
自民党民主党も解体して、「昨日と今日で話が変わらない」人による政党を作る必要がありそうです。
(勿論、心情的には、「現職国会議員は2度と立候補できない」という法律を作って欲しいくらいのもんです。)