日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第197夜 橋の上の幽霊

あまり体調が良くなく、終日、寝たり起きたりの一日でした。
こういう時には、やはり悪夢を見てしまいます。
これは、夕方になり、テレビの前で寝入ってしまった時に見た夢です。

「〇〇橋に幽霊が出る」という噂が立ちます。
今は七月で、もうじき〇〇川の花火大会の季節です。
幽霊話を放置すると、客足に影響が出るかも知れません。そこで、私に「調べて欲しい」という依頼が来ました。
依頼主は、その区の区長です。

まず幽霊を見たという人々から話を聞きました。
意外ですが、「見た」という人の多くは、昼日中のことでした。
内容は概ね次の通りです。
橋を渡っている時に、背後で「キャー」という女の声が聞こえたので、声のした方に顔を向けた。すると、欄干の陰に女の着物が見えた。
何事かと思い、その場所に近寄ってみるが、周囲には誰もいない。
「でも、断末魔のような悲鳴と、若い女の姿を確かに見た」というのです。

これが12人中9人の語る幽霊話でした。
他は夜に見たという話ですが、こちらはあまり信憑性がありません。

「昼に見た」という話を検証するために、その橋を調べます。
ほとんど同じ場所・時刻で起こっていました。
あまりに規則的ですので、何か自然現象が関わっている可能性があります。

そこで、その時間帯に現場に立ってみることにしました。
周囲を見渡すと、川の少し上流の方に、杭が立っています。
漂流物が橋にひっかからないよう、手前に留める目的で立てられたものです。
橋にごみが掛かり水流をせき止めてしまうと、圧力が大きくなり、橋を流してしまうことがあります。
これを避けるために、上流の杭にごみが当たるようにして、方向を変えているのです。

次に、幽霊が出るという控柱の場所に行ってみました。
すると、日の光がまぶしく目に突き刺さります。
水面に日光が反射して、ちょうどその柱の位置に当たっているのでした。
「なるほど」
これで原因が掴めました。
角度的に、日光を反射させている水面は、上流の杭の辺りです。
おそらく、ここに何か色のついた物が引っかかり、その反射光が橋の柱を守る鉄板に当たって、赤く見せているのです。
ほんの少しの間ですが、赤い光が見えるので、これを人影と間違えるのでしょう。
「そうですよね。先生」
(いつの間にか、年若い友人が隣にいました。)

なんとなく原因が分かったような気がしますが、しかし、そうなると、その杭に引っかかったであろう赤い物が気になります。
「神社の幟とか、着物だな」
上流からの漂流物は、一端、杭に引っ掛かると、深みの方に方向を変え、下流に流れて行きます。
この橋から、それほど遠くない下流には河口があり、海に行き着いてしまいます。
総てが海に流されてしまい、確かめることは出来ません。
「じゃあ、杭に引っ掛かった物がしばらくそこに留まるように、杭に鉤を付けてみれば、正体が分かります」
流れているのが布なら、確かに鉤に掛かりやすいことでしょう。

数日後、色のついた漂流物が鉤に掛かりました。
赤い着物を来た女で、殺されて川に捨てられたのです。
その死体の着物の色が反射して、橋柱の鉄に映っていたのでした。
調べてみると、上流の色町で、六人の娼婦が姿を消していました。
連続殺人が起こっていたのです。

この先は、次々にもっと恐ろしいことが起きます。
話をして成り立ちそうなので、この先は取り置くことにします。

時代背景は明治の後半のような感じでしたので、目覚めた後で検索してみたら、ちょうどぴったり合致するような事件・事故が存在しました。
夢で見たことが、実際に過去に起きたことをなぞっているとなると、あまり良い気はしません。

この後、橋の上で聞こえる女の悲鳴の謎が解けるのですが、かなり気持ち悪い話です。
夜の2時過ぎになり、不快な気分で目が醒めました。