日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

大きな災害が起きると

天変地異や大きな災害が起きると、人の心は不安感で占められてしまいます。
そういう状況で決まって現れるのは、預言者の類です。

これは、季節外れの台風で甚大な被害を蒙ったフィリピンの話です。
フィリピン人が恐れおののいたのは、大きな台風の被害そのものではなく、それが11月に来たことです。
フィリピンで台風が猛威を振るうのは、主に8月でせいぜい9月まで。
それが、季節外れの11月に来たことで、「何か恐ろしいことが起きている」という雰囲気になります。

今、フィリピンのネット界で巻き起こっているのは陰謀説です。
アメリカ、中国、日本ら、力のある国が、気象を操作する兵器を開発して、「フィリピンをターゲットにした」というものです。
内容は具体的で、「その国々は3つの台風を創り出し、フィリピンを実験台にしている。このため、この後、2つの台風が続けてフィリピンを襲う」ことになっているようです。
その台風には、それぞれ名前があります。(彼の国では以前の日本のように、台風に女性名詞の名前が付けられている模様です。)
「敵の謀略を恐れず、立ち向かえ」と、預言者は言っているそうです。

日本にもいましたね。
「米国が地震兵器を開発し、日本を狙っている」と主張した新興宗教の指導者が。
外に敵を作ると内部がまとまりやすくなるため、陰謀説・謀略説は、人心を容易に掴むためのごく安直な方法です。

しかし、危機を身近に感じると、人は自分の信じたい妄想にのめりこんでしまいます。
元々、フィリピンでは「まさかの時に備えておく」という意識が薄く、台風と地震以外には怖ろしい天変地異がありません。
今回の台風は季節外れで、予期されたものではなかったので、輸送が止まれば食糧が払底します。
日本でも、地震の直後には2、3日のうちにスーパーの棚が空になっています。
生きるためには、食糧を持っている人を襲って奪わねばならない。
周囲がこういう状況になると、理性的な考え方ができなくなります。

「米中日がフィリピンに台風を送りこんで、一体何の利益があるのか」
こういう当たり前の思考が、もはや働かなくなります。
怖ろしいのは、フィリピン在住の米国人、中国人、日本人に、根拠の無い怒りが向けられる事態です。
早く援助の手が行き渡り、住民が食糧に困る状況を何とかしてほしいものです。

流言は、タガログ語で書かれたフェイスブックを中心に、蔓延しつつあるそうです。
英語で書くと、敵に知られてしまうので、タガログ語だけの情報ということです。
家人がたまたま発見しました。