日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第227夜 危険な隣人

昨夜の夕食の後、テレビの前で寝入ってしまった時に見た夢です。

妻と二人でマンションの1室に住んでいます。
いつも出張が多く、週に2、3日しか家に戻れません。

5日ばかり地方を回り、久々に帰宅しました。
ドアを開くと、居間には妻ともう1人の女性がいました。
「あ。お帰りなさい」と妻。
妻と向かい合って座っていた女性が頭を下げます。
伏し目ですが、左眼の周りが黒くなっていました。
(3軒隣の部屋の奥さんだ。)

「じゃあ、私は部屋に戻ります」
女性は立ち上がって、ドアから出て行きました。
少し足を引きずっています。

「おい。あれは608号の・・・」
「そう。佐々木さんの奥さん」
「またか」
「またよ」
佐々木さんのダンナは乱暴な男で、奥さんに度々手を上げているらしい。
時々、夜中に大きな物音がしますが、大体はこの部屋からです。
妻がこの佐々木さんの奥さんの相談に乗っているのを、前に聞いたことがあります。
「困ったもんだな。そろそろ限界じゃないか」
「そう。今も警察に相談しなさいとアドバイスしたとこ。今のままじゃあ、殺されてしまうかも」
「なんで手を上げているわけ?」
「嫉妬。自分がいない時に、奥さんが別の男と浮気してると思い込んでいる」
無理もない。そこの奥さんは良い女っぷりで、男なら誰でも興味を持つ。
でも、オレは人と会う商売だからすぐにわかるが、そこの奥さんは見た目とは違って、固い性格だ。
浮気なんかしない。もし好きな男が出来れば、早いうちにきちんと離婚する。
「困ったもんだな」
「困ったもんよ。あのひとの顔を見たでしょ」
「そこのダンナは普段は小心者なのに、酒を飲むと人が変わるわけだな」
「あなたも気を付けてね。普通の人とは行動時間が違うのだから、ダンナさんが荒れている時にかち合せになったら大変よ。あそこの奥さんには近寄らないことよ。2人で立っているのを見られただけで危なそうだから、ゴミ出しも私がするからね」
「そっか。そこまで酷いのか」
「そう。このままじゃ、いずれ必ず刃傷沙汰になる」

翌日はまた出張です。
車で移動することになり、夜10時ごろに、カバンを持って家を出ました。
マンションのエレベータを下り、駐車場に向かいます。
ドッシーン!
唐突に上の方で、大きな物音がしました。
続いてドアがバタンの閉まる音がします。

見上げると、6階の外廊下を急ぎ足で歩く女性がいました。
「あれは、佐々木さんの奥さん」
女性は廊下を端まで歩くと、エレベータに乗りました。
(またダンナと揉めたんだな。)
すぐに、マンションの出入口から奥さんが出てきました。
佐々木さんの奥さんは、小さなカバンを下げています。

奥さんは駐車場のほうに走って来ます。
「早く逃げなきゃ。殺される」
奥さんの呟く声が聞こえました。
バッターン!
もう一度、上のほうでドアの閉まる音がしました。
もの凄い形相のオヤジが走り出て来るのが見えます。
男は右手に大きな出刃包丁を持っていました。

そのダンナは廊下の端まで来ると、手すりから身を乗り出して下の方を見下ろしました。
たまたまその時は、奥さんが私の近くに到達した時です。
「てめいら。そこにいろ!ぶち殺してやる」
オレと隣人の奥さんとは、その時、二人とも同じようなカバンを持っていました。
「まずいわ。荷物をまとめて出て行こうとしたら、主人が帰って来たの。『男と逃げる気か』と暴れ始めて、こんなことに」
こりゃいかん。きっと浮気相手にされてしまう。
「こりゃマズイ。とりあえずすぐにこの場を離れましょう」
「ハイ」
奥さんは、すかさずハンドバッグの中に手を入れます。
しかし、車の鍵がなかなか見つからない模様で、ごそごそと掻きまわすばかり。
「ええい。オレの車でとりあえず警察に行きましょう」
「ハイ」
2人でオレの車のほうに歩き出します。
鍵を出そうとすると・・・、なんとポケットに鍵がありません。

「あなた!早く逃げて」
上から声がしました。
顔を上げると、6階の手すりの端にオレの妻が見えています。
手にはオレの車の鍵を持っていました。
オレが鍵を忘れたので、届けようとドアに近寄った瞬間に、今の騒動が起きたのでしょう。
(こりゃいかんなあ。2人で同じ車に乗ろうとしているところを見られてしまった。危険が迫っているのは、奥さんだけではなく、このオレもだ。)
「早く逃げて!」
もう1度妻の声がします。

それとほとんど同時に、マンションの自動ドアが開き、男が走り出てきました。
顔が真っ赤で、手には出刃。
オレは商売柄、カバンの中にスタンガンを持っている。
しかし、果たしてそれで間に合うものかどうか。

ここで覚醒。

目が醒めて、すぐに感じたことは、「ああ、ヤバかった」。
夢の内容ではなく、今の体調のことです。
ドッシーンは、不整脈の音で、心臓が妙な打ち方をしたので、夢にそれが出てきたのです。
確か「致死性の不整脈」と言ったように記憶しています。

この手の発作はこれまで幾度も経験済みです。
急激な不整脈の影響で、血栓が出来たり、さらにそれが脳血管に回ったりすると、2度と覚醒できなくなります。
目覚めた時には概ね何ともないのですが、「ドッシーン」の時に何が起きているのかは承知しています。
心臓病で入院していた時、これと似たような「ドッシーン」の夢を見たのですが、間髪入れず看護師2人が私のベッドに走って来ました。看護師は心電図を見張っていたので、私が致死性の不整脈を発症していることがわかったのでした。

夢に取り込まれたら、しばらくの間、あの状況のまま過ごさなくてはならなくなります。
そう思えば、ひとまずは無事に目覚めることができて良かったです。