日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第250夜  遠くの街

夕食の支度を終え 、やれやれと腰を下ろしたら、10分も経たぬうちに寝入っていたようです。
目が醒めたのは20分後。
これはその間に観た短い夢です。

オレが付き合っている女性は、オレの家から片道3時間のところに住んでいる。
オレはその女性に会うために、月に1度か2度、車を運転して出掛けていた。

途中で必ず渋滞する地点が2つあり、そこを回避できれば2時間かからずに行ける。
どうすれば、過度の疲労を残さずに行き来できるのか。

車が古く、カーナビの情報が正確ではないため、その都度別の道を試してみる。
すると、遠回りだが自動車専用道路が出来ており、一度別の方向に向かうと、移動距離は増えるが時間はかなり減った。
女性の家は、オレの家から見ると南へ70キロの位置にあるのに、出発してしばらく西に迂回すると、上手い具合に渋滞区間がひとつ減るのだ。
これで、片道の移動時間が2時間に減った。

もう1箇所、どうしても詰まる地点があるが、こちらはどうしてもわからない。

半年、1年が経ち、次第に出かけるのが億劫になってくる。
車に乗るのは嫌いではないが、女性と落ち合うまでに2時間かかり、そこからどまたこかに出かけるとなると、その日は大半を運転で過ごすことになる。

「ちょっと疲れるよな」
そう思い始めている。
疲れているのは体ではなく、心のほうだ。
もし「逢いたい」という気持ちがあれば、途中で何時間かかっても平気だろう。
心が重くなっているから、疲労が増しているのだ。

程なく恋が終わり、その女性と別れることになった。
あんなに好きだったひとなのに、もはや「絶対にうまくいかない」確信がある。
お別れのメールを出して、酒を飲んで眠った。

翌朝。目が醒めたら、すこぶる爽快な気分だ。
ここで初めて、「ああ。オレは随分前からあのひとと別れようと思っていた」ことを自覚した。

それから数か月の時が経ち、用事が出来て、かつてあの女性が住んでいた隣の街に出かけることになった。
先方との事前の打ち合わせを電話でした。
「こちらから何時に出発すると、大体2時間から3時間かかりますので・・・」
そう言うと、言葉の途中で、相手が話を遮る。
「え?新しいバイパスを来れば、そんなに時間は掛からないよ」

1年くらい前に、幾つかあった渋滞区間を総て迂回するバイパスが出来ていたらしい。
実際にその道を通ってみたら、1時間かそこらで、かつての女性が住む街に着いた。
「なんだ。この道を来れば良かったんだ」
あんなに苦労することはなかったのに。

見慣れた街並みが通り過ぎる。
しかし、もうここはオレとは縁の無い、「どこか遠くの街」だ。
やはり「縁が無かったんだ」と、改めて自覚した。

新しい近道を知ったところで、もはや何の意味も無い。
この時初めて、何かもの悲しい気分になった。

ここで覚醒。

記憶をなぞり、整理しようという夢です。
忘れるためには、何度か夢に観ることが必要なのでしょう。