日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第295夜 ドライブの途中で

温泉で食事&休憩した後、神社に参拝して帰宅しました。
少し疲れたのか、座ってからほんの数分で寝入っていました。
これはその時の短い夢です。

車を運転している。
週に3回はどこかの温泉に行くので、関東中を順繰りにドライブしている。
オレが行くのは日帰り温泉ではなく、普通の温泉旅館だ。
温泉旅館で日帰り入浴をしているのだ。
すなわち、その旅館に泊まるのと同じ費用が掛かるが、このやり方だと、1人でも部屋でのんびり出来る。
宿泊では「2人以上」でないと部屋を取れないが、これなら1人でも、浴衣を着て、外を眺めることが出来る。
ま、病人には6時間とか長くても8時間くらいごろごろ出来れば、それで十分だ。
片道で一時間程度のところにしか行かないので、半日温泉にいてもそれほど疲れない。

今日は昼前に温泉に行き、午後4時までそこに滞在した。
帰り道では高速は混雑するので、一般道の脇道を使う。
こうすると渋滞にかからないが、田畑の真ん中を通る農道を走らされることも多い。
時々、カーナビが働かない山の中に入り込むこともある。

「バイパスは混んでいるだろう」と思い、脇道に入ったら、これが不味かったらしく、山道に入ってしまった。
細い一車線道路が、先に進むうちに、さらに先細りになっていく。
「いかんなあ。このまま進んで、前が行き止りだったら、戻るに戻れない」
カーナビはもはや直線距離しか示さないし、携帯も繋がらない。
街灯なんか見当たらないわ、舗装道路が尽きてしまうわ、てな事態だ。

峠の中腹にある道に上がってしまったので、ひとまずオレは車を停めた。
オレの車が道を塞いでしまうが、何のことはない。
だいぶ長いこと車なんか通っていないらしく木の葉が道に積もっていた。
「どうしよう」
早めに点けたヘッドライトの先には、木々が風に揺れていた。

戻ろうとしても、車をUターンするスペースは無い。
「これじゃあ、仕方ない。道幅に余裕のあるところまで行くか、広い道に出るまで前進するかだ」
車に乗って、もう一度発車した。
右手が峠の頂きだが、上には一応見晴らし台のような場所があるのだろう。
細い階段が見えた。
通りすがりに、その階段をちら見すると、少し上の方に少女が腰を下ろしていた。
「あれ。もう夕方なのに。この近くに家があるのかな」
赤い運動着姿なので、遠くから来たわけではなさそうだ。
ま、いっか。

さらに先に進むと、道はちょうど山を一周するように回り、またさっきの階段の所に出た。
再び階段の方を見ると、少女が少し下の方に降りている。
オレのことを少女の視線が追っている。
何か口が動いているように見える。
「もうじきすっかり暗くなってしまうのに、こんなところで何をしてるんだろ」
まあ、余計な詮索は要らないよな。

もう一度先に進む。
どこか同じところで道を間違えるらしく、また同じ道に戻る。
あの階段を過ぎた辺りに、左に折れる小道があったようだが、そっちも細道なので無視していた。
たぶんあれだよな。
こうして、またもや同じ場所に戻った。

階段の下の所に差し掛かると、上の方にいた少女の姿が消えていた。
「あれ。家に帰ったのかな」
なんとなく車を停めた。
「あと30分もすれば真っ暗だ。早いとこ広い道に出ないとな」
そう考えて、煙草に火を点けた。
ふうっと息を吐き、何気なく外に視線を向けると、運転席のすぐ3メートル外に少女が立っていた。
少女の視線がオレに向いた。

すると、突然、少女が叫んだ。
「助けてえ!!!」
とんでもなく大きな声だったので、オレは驚いて煙草を下に落とした。
「アチチチ」
慌てて太腿の上の煙草を拾う。
窓からその煙草を放り捨てた後で、視線を少女の方に戻すと、さっきまでそこに立っていた少女の姿が消えていた。
「おい。どこに行った?」
助けて、と叫んだだろうに。

オレはドアを開け、車の外に出た。
「おかしいな。あの子はどこに行ったんだろ」
回りを見渡す。
寂れた見晴らし台に続く階段に、人影は見当たらない。
階段の両側には、木々がうっそうと生い茂っている。

階段の右側。灌木が茂ったところで自然に眼が止まる。
「何だか気持ち悪いな」
オレは生まれつき勘が働く方だ。
そのオレが「気持ち悪い」と感じる時には、実際に気持ち悪いことが起きている。
「これは不味い事態だぞ」
オレはほんの少しの間思案した。
もしさっきの少女が何らかのトラブルに巻き込まれているなら、声を掛けて確認する必要がある。
だが、あれが生きた人間ではなく、もはや死んでいる者なら、接点を作ってはダメだ。
声を掛けたり、招きよせたりしてはダメなのだ。
どうしよう。

胃の辺りがずしっと重くなる。
「これは・・・」
あの茂みの気持ちの悪さときたら。
オレの結論は、あの少女は既に死んだ者で、この場から動けずにいるということだ。
それなら、オレはこのままこの道を下り、警察に届け出なくてはならない。
だが、こういう時に、幽霊の話をすると、警察は動いてくれない。
「変なヤツ」「妄想癖」だと思われるだけだ。
なら、現実の話をそのままの形で言う方が良さそうだ。
「山の中に少女が居ました。何か事件があったようで助けを求められました」だな。

オレは今度は道を間違えずに進み、一番近くの警察署に向かった。
警察署の玄関を入ろうとすると、「行方不明者」のポスターの中に、あの少女の顔写真が載っていた。
あの子は、学校から帰る途中で、運動着姿のまま行方不明になっていたのだ。

ここで覚醒。

昼に出かけた先で「探しています」のポスターを見たので、その影響だろうと思います。