日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第259夜 警告

夜中に仕事をしており、ひと休みしようと腰を下ろしたら、そのまま居眠りをしました。
これはその時に観た短い夢です。

目を覚ますと、居間の床に横になっていた。
「どうやら寝込んでいたらしいな」
部屋の中は灯りが消えていて、薄暗い。

しかし、窓のカーテンから光が漏れていて、今が朝方だということがわかる。
おおよそ4時少し前くらいか。

次第に目が慣れてきて、部屋の様子が見えて来る。
すると、部屋の反対側の長椅子に、誰かが座っていた。
その黒い人影は妻や子どもたちではなかった。
(コイツは誰だよ。)

ゆっくりと起き上がる。
(もし泥棒の類なら、いつも準備している通り、これ幸いと殺してしまおう。)
起きている時は、「痛めつけよう」だが、やはり夢の中なので、考えることはさらに過激になる。

椅子に座っているのは誰なのかを見極めようと、目を凝らす。
しかし、男なのか女なのかさえも分からない。
オレの横、テレビの脇には、バールが隠してある。
オレはゆっくりとそのバールの方に手を伸ばす。
工具はいつも通りそこにあった。
(いざとなったら、これで・・・。)

黒い人影はしばらくじっとしていたが、突然、口を開いた。
「おい。もう神社に行くのをやめろ」
え?

なんだ、コイツ。
悪霊か。

オレはその方面には敏感な方で、色んなところに出かけては、「お友だち」を連れ帰る。
もちろん、望んでそうなっているわけではない。
あちら側が、オレのことを自分自身だと錯覚して、ついて来るのだ。

この辺はちと説明が難しい。
オレはもちろん、オレの心で感じ、オレの頭で考えている。
かたや悪霊は既に死んでおり、頭を持っていないので、論理的に考えることができない。
そこで、オレの心に入り込み、オレの頭で考えるのだ。
すなわち、オレはオレだが、悪霊の方もオレのことを自分だと思っている。
かなりややこしい。

目の前にいるこの悪霊は、いつの間にかオレに寄り添っていたと言うわけだ。
それが、オレが毎日のように神社に行くようになったので、苦しがっているのだ。
黒い塊が、再び口を開く。
「もう神社に行くのをやめろ。ひどい目に遭わせるぞ」
こういう脅し文句は、オレには通用しないよな。
力でどうにかしようという奴は、トコトン痛めつけることにしている。

立ち上がって、近くに行こうとするが、オレの体は動かない。
ここで、「今、自分は夢の中にいる」ってことに気付いた。
「あ。オレは寝てるんだ。体が眠っているから、手足が動かない」
こりゃ、あと何分かはかかりそう。
指先に集中し、少しずつ動かそうとしてみる。

黒い塊がもう一度呟く。
「もうやめろ。行くな」
さっきより、おどろおどろしい感じが減っている。

「コイツ。弱っているわけだな」
なるほど。神社にお参りに行くことには、こういう直接的なご利益があるわけだな。
もちろん、ただ出入りするだけではダメで、信じなくては力は出ない。
死後の存在を信じない者がお守りを持っても、何ひとつ効力はないが、それと同じだ。

幸い、オレは「死んでもそこで終わりではない」ことを知っている。
「なら、集中すれば追い払えるだろ」
数秒後、指の先にほんの少しだけ感覚が戻って来た。

ここで覚醒。

目が醒めると、夢の中と同じ居間にいて、同じ場所に横になっていました。
向こう側の長椅子には、もちろん、誰も座っていません。
時計を見ると、午前4時過ぎ。
同時進行?で夢を観ていたようです。