日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第273夜 怪物

今朝方になり、トイレに起きた後で観た短い夢です。

ジージー」と鳥の鳴く声が聞こえる。
家のすぐ脇に榊の大木があるが、その木の上から聞こえて来る。
煩い鳴き声に、すっかり目が醒めて、布団から体を起こす。

「あれはカラスじゃないんだよな」
何と言う鳥だっけ?
次女が言ってたっけな。
当家の周囲100メートル四方は、つい数年前まで空き地だったのに、宅地開発でほとんどが住宅になってしまった。
林があり、カラスが20羽くらいいたが、住処が無くなったので、いきおい榊の大木に身を寄せていた。
しかし、あまりに大所帯で住み難かったのか、今年になり一斉に遠くの森に移動したらしい。

数十羽のカラスがいると、見た目は不気味だ。
しかし、沢山のカラスが睨みを聞かせている間は、ツバメが軒下に巣を作らない。
鳩も、他の鳥も、この近くには寄って来ない。
そういう意味では、カラスだって「いてくれた方が助かる」鳥だ。

今は榊の木に住むカラスはたった1羽だ。
そうなると、色んな鳥が入り込んでくるようになった。
ギャー・ギャー鳴く鳥もその仲間で、4、5羽が巣を作っているらしい。
たった1羽になったカラスは、その煩い奴らに手を出すこともなく、おとなしい。

「ツバメや鳩が寄りつくと、糞の掃除が大変になるよな」
状況を確かめに、玄関から外に出て見た。
榊の木は樹齢何百年かの大木だ。上の方を見通すことは出来ない。
「風が強い時にはカラスたちがうちのベランダに避難していたから、気色悪いと思う時もあった。それでも、いないとなると不便なもんだな」

視線を下げ、玄関の方に戻ろうとした。
家のすぐ横は、やや広めの隣家の庭で、柿の木やミカンの木が10本くらい植えられている。
地面の半ばは灌木の茂みで覆われていた。
その茂みの間に、何か動くものが見えた。

大きい。
まるでコモドドラゴンみたいに長い体が葉の陰にいた。
胴体が覘いているが、爬虫類か、あるいはムカデのような形をしている。
長さは少なくとも5メートルはありそう。

ざわざわと葉が揺れて、その動物が顔を出した。
あろうことか、頭は豹かハイエナのような肉食動物だった。
半開きの口から、牙が二本突き出ている。

幸い、まだこちらには気づいていなそうな感じだ。
そっと後ずさりする。
10メートルくらい下がったところで、周囲を見回す。
すると、隣近所のあちこちに、その怪物がたむろしていた。
「こりゃ、不味いよな」
警察を呼ばねば。
「いや、自衛隊だな。こりゃ」

家の中にいるのは、妻と長女だ。
たぶん、両方ともまだ寝ている。
「リスクを犯して家に戻るよりも、近所のコンビニから警察に電話した方が良さそうだ」
あの爬虫類みたいな手なら、ドアを開いて家の中に入ったりはせんだろ。
妻や長女が自ら外に出て来なければ、10分20分の間は大丈夫のはずだ。
携帯で連絡してやろうかとも思うが、生憎、家の中に置いて来ていた。

ここで最初の怪物が顔を上げて、オレの方を見た。
ぐあっと口を開く。
尖った歯を見ると、コイツはやはり肉食だ。
オレはその怪物と視線を合わせたまま、ゆっくりと後ろに下がった。

ここで覚醒。

居間で寝ており、目が醒めた時には、長女が長椅子に座っていました。
すかさず、長女に告げます。
「おい。たった今、うちの脇に怪物がいる夢を観た」
「え?」
「家にはお前と母さんがいたが、父さんはお前たちを置いて、独りで逃げた」
「父さん。酷~い」
少しデフォルメして、長女をからかいました。

すぐにわかりますが、「怪物」は日頃抱えている不安の象徴です。
私の不安は、「それほど遠くない未来に、自分はパッタリと倒れ、そのまま死ぬのではないか」ということです。
そういう意味では、夢らしい夢と言えます。