数日前に観た夢です。
囲炉裏の前に座っている。
炭が発する熱が顔に当たり、少し顔が火照っている。
目をつぶっているが、開けても薄暗がり。
眼疾のため、俺の眼はよく見えないのだ。
眼が見えないかわりに、音や振動には敏感だ。
このため、俺のいる館に早馬が近づいたことが、すぐに分かった。
馬は二騎。
この館の者だろう。
俺はすぐに命じた。
「表門を開けよ!伝令が参った」
廊下に控えていた供侍が小走りで立ち去った。
程なく二人が上がって来た。
「挨拶はよい。近う寄れ」
「はい」「はい」
二人が間近に来る。
「城が落ちたか」
「いえ。九戸将監が自ら門を開きました」
「ふむ」
「城内に幾らか抵抗を試みる者がいたようで、その後で城が焼かれました」
「将監殿は?」
「捕縛され、今日の内にも、南に向け出立する模様です」
俺はここで囲炉裏に向き直った。
囲炉裏の向こう側には一人の男が座っている。
「まさにぬしの申した通りだな。源左衛門」
男が答える。
「凡てが、あの方の描いた絵図にござります」
俺はここで立ち上がった。
「よし。では我らも出陣だ。皆に伝えよ」
「はい」
若侍たちが立ち上がる。
俺の行先は七戸だ。
七戸には、俺の娘がいる。
婿(家国)殿が宮野に発つ時、殆どの女子供や若者を残して行ったが、これは俺との密約があったためだ。
即座に、俺の手勢が七戸に入り、他の南部方に荒らされないようにしたのだ。
ここで俺が自ら七戸に行き、秩序を示せば、おそらく娘や孫の命を救うことが出来よう。
「もちろん、あの南部大膳が余計なことを考えなければ、ということだが」
さて、ここで中断です。
夢の中で、私は八戸薩摩(政栄)になっていました。
今は私も眼疾があり、よく前が見えない状況です。
そのせいもあるのでしょうが、八戸薩摩に「前に進め」と言われているような気がします。
続きは、本編にて。