日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第271夜 死体

短編の「雪女」をやっとこさ書いたので、すぐさま編集に送りました。
相変わらずの一発書きなのは、今は毎日寝たり起きたりで、「明日のことはわからぬ」ような状態だからです。
疲れているので、テレビの前に座った直後に、寝入っていました。
すぐに起きたので、夢は1つしか観ていないと思います。

誕生日が来た。
オレもこれで後厄を終わったことになる。
この辺で、ひと区切りすべく、とりあえず妻と離婚した。
妻とはずっと折り合いが悪く、「早く離婚しよう」と思っていたが、さしたる理由なく「離婚してくれ」と言えば、騒動になるに決まっている。
そこで、ほぼ1年前に、妻には働きに出てもらうことにしたのだった。
すれ違いの生活が続いたが、1年経って、ようやく外で妻に愛人が出来た。
オレは密かにそれを確かめ、早速、離婚を申し出たのだ。
「現金資産を全部渡す」と言うと、妻は喜んで離婚に同意した。
妻もただのバカではなく、俺の様子をよく見ていた。
「かなり前から別れるつもりだったでしょう」
「なぜ知っている」
「貴方はもう随分前から、結婚指輪をしていないもの」
妻はそれに気づいたが、その時は別の男がいたので、もはやオレのことはどうでも良くなっていたらしい。
それが女という生き物だ。

「さて、次は何をしよう」
戸籍の整理は済んだことだし、あとは何を整理すれば良いだろうか。
「よし。区切りの齢だし、これまでのオレが絶対にやらないことをしよう」
すなわちそれは、倉庫の片づけだ。
オレは物を捨てるのが下手なので、自然と倉庫にがらくたが溜まってしまう。
倉庫が一杯になると、すぐに次の倉庫を作るので、今の倉庫は3つめだ。
ま、新しいヤツから片づけることにした。
中身が一番少ないから片づけも他のより楽だろう。

新しい倉庫と言えば、プレハブかコンテナみたいなものを思い浮かべるだろうが、少し違う。
オレは凝り性なので、北海道のどこかにあるような、赤レンガの建物を作ったのだ。
3棟ある倉庫は全部これだが、最後のやつには、奥に大型冷蔵庫まで備えている。

倉庫の中に入ると、やはり雑多な物が山になっていた。
アンティークの家具や、骨董品的な電機製品だ。
そんな山を掻き分けて進んで行くと、奥の巨大冷蔵庫が見えて来た。
赤いランプが点いている。
「ありゃ。電源が入ってら」
何でだろ。

扉の前に着く。
扉には大きな鍵がが幾つもかかっていた。
「ここを作り、鍵を付けたのはオレ自身だろうに、まったく記憶が無い。どうしてだろ」
家に戻り、鍵の束を持ってくる。
5つある錠の4つを開けたが、どうしても最後の鍵が見つからない。
次第にオレは腹が立ってきて、金属カッターで錠を壊した。

冷蔵庫の扉を開いた。
中は16畳くらいの広さがあった。
殆ど何もなくがらんとしていたが、隅の一角にシートで包まれた何かが転がっていた。
「何だろ?」
近寄ってみると、それはシートで包まれた上に、荒縄でぐるぐる巻きになっていた。
「こりゃ、開くのは大変だよな」
縄をほどくのは面倒なので、シートの真ん中辺りをナイフで切り裂いた。
ざっくり割くと、中の物が見えた。

裂け目から現れたのは、人間の右手だった。
オレは驚いて、後ずさりした。
「何だこりゃ。死体じゃないか」
すぐに警察を呼ばないと。

この倉庫の中では携帯は繋がらないので、オレは一度倉庫の外に出た。
警察の番号を押す。
ここで、一旦受話器を耳から離し、オレは電話を切った。
「警察に電話するのは、状況を確かめた後が良いかもな」
確か第一発見者は、被疑者として見られやすい筈だ。
うかつに振る舞えば、あれこれ調べられたり、その挙句に犯人にされてしまうかもしれない。

まずは、あの死体は誰かということ。
それから、誰が殺して、あそこに置いたかということ。
これを見極めねばならない。
でもま、犯人はオレか元妻のどっちかのサイドだろ。
この倉庫を開け閉めできるのは家の者だし、半年以上開けられた形跡はない。
「ま、一番怪しいのはオレだよな」
ダメじゃん。
良く考えて対応しないとね。

オレはひとまず、冷蔵庫の中に戻った。
まずは、この死体が誰かと言うことを調べるためだ。
今度はシートを上から下まで、縦に切り裂いてみた。
顔の周囲には包帯が巻いてあり、表情を知ることが出来ない。
死体はスーツを着ており、そのまま包んであった。
身長はおよそ173センチだ。

よく見るために、オレは卓台の上に死体を引き上げた。
体の真ん中ら辺の綱を切ると、左腕がだらんと垂れ下がる。
その腕を取り、元に戻そうとすると、手の先の様子が目に入った。
死体は、左手に指輪を嵌めていた。
その指輪をよく見ると、あろうことか、それはオレの結婚指輪だった。

ここで中断。

これもなかなか良い筋なので、物語にまとめることにしました。
目覚めた時にすぐわかりましたが、フィリップ.k.ディックの短編小説に影響を受けた筋だろうと思います。
「オレ」は自分のことを「オレ」だと思っているが、実は本人ではなかった、という流れです。
よくありがちな筋なので、ひと工夫が必要だろうとは思います。