日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第287夜 同窓会

火曜の夜、夕食の支度をした後、テレビの前で寝入ってしまいました。
これはその時の夢です。

目を開くと、オレはどこかパーティ会場にいた。
「いったいどこだろ?」
回りを見渡す。

パーティの参加者の顔に見覚えがある。
高校の同級生たちだった。
「すると、ここは同級会か同窓会だな」

1人の男が声を掛けてきた。
「お。珍しいじゃねえか。どうしたんだよ。同級会には一切出なかったのに」
オレはその男に答える。
「うん。あと3日でオレは死ぬんだよ。だから別れの挨拶に来た」
平然と答えたが、それを口にした自分自身の心中ではびっくりしている。

その男はやはりオレ同様に平然と言った。
「そっかあ。そりゃ残念だったな。まあ、俺たちもこの齢だし、同級生の中にはチラホラ死ぬヤツも出ている。仕方ないよな」
「うん。まあ、こんなもんだよ」

そう言えば、オレが同級会に出なくなったのは、体調の悪化が原因だった。
もう5年以上前になるが、会の途中で、具合が悪くなったのだ。
たまたま、前の夜に嫌な予感がしたので、オレは会場のすぐ隣にホテルの部屋を取っていた。
「ちょっと休んで来よう」
部屋に入ると、オレは気を失って、次に目覚めたのは2時間後だった。

半年後、やはり同期主催の忘年会に出た。
この時は、オレの不調の原因が心臓だということが分かっていたので、「ひとつ間違えば命を落とすかも」と思いつつ、会場に向かった。
だが、若い頃の仲間には会いたい。
もちろん、念のため、忘年会場の隣のブロックにあるホテルに部屋を取った。
「前と同じことがあったら」という不安があったのだ。
そうしたら、やはりまた同じことが起き、ほとんど部屋で寝ていた。

こりゃダメだ。
この経験から、オレは同級会はおろか会合にはほとんど出なくなった。
集まりに出なくても済むように、大半の集まりを退会した。
最初はいちいち事情を説明するのが面倒なので、「仕事に専念したい」などと言っていたが、その当時オレは十幾つの「会」に入っていた。
どの集まりからも勧誘される。
仕方なく「体調が悪いから出られない」と断った。
だが、皆が一様に「飲まなきゃいいじゃない」と勝手なことを言う。
実際には、オレにとっては命に関わる事態なのだ。

面倒になったオレは、「出たくない。それはお前らが嫌いだからだ」と言うようにした。
こう言うと、相手は腹を立て、連絡を寄こさなくなる。
知り合いとは疎遠になるが、会の途中で誰かに死なれたら、興が削がれるだろう。
それ以上に、自分が命懸けで出ているのに、周りが能天気に楽しそうだと、さすがに腹が立つ。
そういう意味では「お前らが嫌いだ」と、オレが思っているのは事実だ。

そういうオレが同窓会(か同級会)に出ているのは辻褄が合わない。
オレは一度物事を決めると、梃子でも動かない性格だ。
これまでの人生の中で、一旦、「こうしよう」と決めてから、後で考えを改めたことは一度も無いのだ。

「そっかあ。オレは3日後に死ぬのか」
オレは納得した。
そこでオレは、1人の女子の姿を探した。
昔、好きだった女子だ。(もちろん、今はそれなりの年齢だが。)
ついていたことに、その女子もこの会に出ていた。

「おお。〇○ちゃん」
昔女子高生だった女性が振り向く。この人は程なくオレは死ぬことを知らない。
「あら。随分久しぶりね。どうしてたの?」
「今生のお別れに来た。だからオレとハグしてくれ」
「こんなオバサンでも良いの?」
「オレの方は、もはや死にかけのジジイだよ」
「死にかけ」はこれも事実だった。
そこで、オレはその女子と軽くハグをした。
「失敗したよな。こういう女性が一番素晴らしいってことにオレは気づかなかった。今は分かるけどね」
「何言ってんのよ」
「こういう凹凸の少ない真っ直ぐな体型が実は最高だ。日本人体型とでも言おうか。ご飯と同じだよな。シンプル・イズ・ベストだ」
たちまち女子の眉間に皺が寄る。
「バカヤロ!」
はは、ま、こんなもんだよ。

そこに、別の男が顔を出す。
「おい。おめえ、二次会には行けんのか?」
オレは大声で怒鳴った。
「当たり前だよ。二次会に行かずして、何が楽しいんだよ」

もちろん、嘘だ。
もう既に、胸が重くなっていた。
幹事役に金を渡し、「ちょっと中座するから」と、オレは会場の外に出た。
「救急車を呼ぶのは、あの角を曲がってからだよな」
足を進めるオレの体が傾いでいる。

ここで覚醒。

目が醒めた瞬間、「今は何年?」と訊いて置けば良かったと思いました。
しかし、「2015年」くらいならともかく、「2014年」という答えかもしれないので、「答えを聞かなくて良かった」とも。
2014年の忘年会じゃあ、あと2か月もありません。