日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第330夜 サトリ (警察の妖怪)

昨晩は、体調がイマイチで起きていられず、早々に就寝しました。
いくつも夢を観たのですが、これは最後の方で観ていた夢です。

眼を開くと、どこか小さな部屋にいる。
椅子が壁に沿って並んでおり、人が何人も腰かけていた。
1人、2人と数えてみると、全部で12人だ。

ドアが開き、男が入って来る。
男は椅子のひとつに近づくと、そこに置かれていたコートを羽織った。
別室で何か面談のようなことが行われており、その男はそれが終わったので帰り支度をしているのだ。
その男の隣にいる中年女性が声を掛けた。
「どうだった?何を訊かれるの?」
男が首を振る。
嘘発見器に掛けられるのかと思ったら、とんでもないや」
「え?どういうこと」

ここで、次の対象者が呼ばれ、ドアから出て行く。
出て行ったのは若い女だった。

「薄気味悪いヤツが座っていて、コイツが何でも言い当てやがんだ」
「え?機械じゃないの」
「あれは心理学者でも占い師でもないよな。とにかく薄気味悪いとしか言いようがない。オレのことを全部言い当てやがんだよ」
「それって、噂になってるヤツ?」
「本当だったんだな。警察が妖怪を捜査に使っているって」
「サトリ?」
「そう。サトリ」

おいおい。本当かよ。
「サトリ」ってのは、山道で会うと言う、子どもみたいな妖怪だよな。
確か、こっちの心の中を読み当てるんだったっけ。

「妖怪じゃなけりゃ、宇宙人だな。あの額ときたら」
「額?」
「何か額に傷のような筋があるんだ」
「それって、世間の噂では3番目の眼だって話じゃない」
「そうそう。話をしているうちに、そいつがぱっくり開いてさ。なんて、それは冗談。開いたりはしなかったけど、時々むくむくと動くから、確かに目玉のように見える」

この辺でオレは、自分が、そしてここの人たちがなぜ集められたかを思い出した。
オレの住むマンションで空き巣事件があり、その被害額が5千万だ。
マンションの外から侵入した形跡がないので、その時、建物内にいた住人が調べられているのだ。

「あいつは絶対に普通の人間じゃない。オレが会社の金をちょろまかしていることや、事務の姉ちゃんと出来てることを全部言い当てやがった。まったく良い迷惑だぜ。盗難事件のことだけ操作すればいいのによ」
ここで女が嫌そうな顔をする。
「隠し事を全部言われちゃうの?」
「まったく。子どものころの悪事まで全部並べやがるんだよ」
ここで女が「くく」と笑った。
「じゃあ、さっきの女の子あたりは、『あんたは上司と不倫している』とか言われてんだね」
男の方もつられて笑う。
「本当だな。いかにも男が好きそうな女だった」
女は急に不安げな表情に変わる。
「でも、そんな気持ち悪いヤツ。どっから連れて来たんだろうね。私は何を言われるんだろ」
「あいつは人間離れしているから、妖怪とか宇宙人とか言われてんだな」

確かにな。心の中を全部覗かれてしまうのではたまらない。
人は必ず、他人に隠して置きたいことを何かしら抱えているものだ。

いやはや、参った。
オレはこの局面をどう切り抜けようか。
窃盗事件どころではない。オレは人を殺しているのだ。
昨晩、マンションに警察が来た時、オレは自分が殺した女を風呂場でバラバラにしているところだった。
そのサトリみたいなヤツなら、オレの犯行を言い当てるのは簡単だろう。

オレはひとまず席を立った。
今は参考人として事情聴取される段階だから、警備はそれほど厳重じゃない。
トイレに行くふりをして、周りの様子を確かめよう。
オレはドアを開き、静かに廊下に出た。

ここで覚醒。

この直後、別の角度から眺めた場面と、「サトリ」が採用された経緯について夢に観ました。
サトリだけではなく、長頭人やらの異形が沢山出ました。