日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第343夜 8号館の悪霊

月曜の朝7時前に見ていた夢です。

目が覚めると、丸テーブルを前にして座っていた。
「今は夢の中だな。オレは誰で、ここはどこだろ」
いつものように、自分が夢の中にいる自覚がある。

オレは21歳で、大学の3年生だ。
ここは大学本部の6号館の中で、2階の学食だった。
30短擁?離侫蹈△倭缶未食堂とラウンジになっている。
オレは300辰曚廟茲諒験愽瑤粒慇犬世、ここのカレーが好きでわざわざこの6号館まで食べに来たのだ。
学食の170円のサービスカレーなので、けして美味しいわけではない。
具はタマネギに、豚の脂身のカスがわずかだけだ。
長い間寝かせたカレーで、一般の客に売るには辛すぎるが、オレはこういう味が好きだった。
大量に作り置きして1週間は継ぎ足して使うので、週末くらいには良い味になっている。
何せ170円だし、アパート暮らしの身には助かる。

フロアには540人くらいの学生がいた。
今は昼飯時で、皆、定食を食べておしゃべりしていた。

「季節は何時ごろなんだろ?」
外の日射しを見ると、春か秋の感じ。女子学生の服装が茶色っぽいので、今は秋だろう。
きっと大学祭とか、近いんだな。
「そう言えば、オレも本当は学祭の打ち合わせに来たんだった」
2時過ぎからだから、まだだいぶ時間がある。

カップのコーヒーを飲んで、ぼおっとしている。
すると、唐突に外の方から叫び声が聞こえた。
「わああああああ」
窓の上の方が開いており、外の音が入って来るのだ。
「何。なんで叫んでんだろ」
ひと呼吸置いて、また叫び声が響く。
「たああああああ」
顔を上げて、声のする方を確かめる。
「すうううううう」
やはり外だ。

オレは立ち上がって、窓ガラスに近づいた。
このフロアの一角は壁面が総てガラス張りになっている。
「けええええええ」
声はこの棟の向かいに立つ7号館の上から聞こえていた。
「てええええええ」
オレくらいの男が叫んでいる。
「くれ」
え?もしかして「助けてくれ」って言ってんのか。

「そう言えば・・・」
この6号館は、人の口には登らないが、意外と自殺の名所だった。
1年に1人ずつ屋上から飛び降りるヤツがいる。
マンモス大学なので何万人も学生がいるわけで、その中には自殺を考えるヤツも出る。
どういう訳か、そういうヤツはこの6号館に来ては、屋上に登ってそこから飛び降りるのだ。
「でもま、今はネットがあるから」
ここが隠れた自殺の名所だってことは、大学はひた隠しに隠している。
しかし、毎年少なくとも1人ずつ落ちて行くので、今は3階付近にネットが張ってある。
建物全部の周りを5辰らいの幅のネットが囲んでいるのだ。
こうすれば、上から落ちても、このネットに引っ掛かる。
ここは6階建てなので、まあ、死ぬことは無い。

「しかし、あんなにでかい声なのに・・・」
この学食の誰1人として、外に注目するヤツはいない。
はっきり聞こえているだろうにな。
「たあああああ」
まただ。また始まった。
振り返って、このフロアの学生たちを眺め渡すが、顔を上げる者は無い。
「もう慣れきっているのかな」

この時、オレの後ろに歩み寄って来る者がいた。
「ねえ。あなたには聞こえるの?」
振り返ると、女子学生が立っていた。
長い髪に、グレーの服。下は黒いスカートだ。
「あなたはあの声が聞こえるの?」
4年生くらいだな。大人っぽい。
「はい。『助けてくれ』って聞こえますよね」
オレはついつい丁寧な言葉遣いになっていた。
言うまでもなく、この女子学生がかなりの美人だったからだ。

ここで中断。

この段階で話として成り立つことが分かるので、短編小説に書くことにしました。
新たに書き下ろして「夢幻行」に加えることにします。
いつも通り、悪霊の話です。
目が覚めると同時に、手元の紙にメモしました。
記憶に留めるための書き殴りにて、ここは校正しません。

この先はこんな感じ。
屋上から聞こえる声は、「オレ」とこの女子にしか聞こえていませんでした。
さて・・・、という流れです。