日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第355夜 コンビニの前で

相変わらず、「眠ると悪夢」の連続です。
数年に1度くらいの頻度で、こういう時があります。
体調が下がり始めている時のことが多いようです。

火曜の夜中の3時ごろに観た夢です。

車を運転している。
関東の某市の中で、実際に存在する場所だ。
(夢の中で作り上げた場所ではない、という意。)
今は4月の中旬か下旬で、かなり暖かい。
息苦しいので窓を開け、外の風を入れた。

赤信号で停止する。
横を向くと、左側にコンビニが見える。
駐車場に入れないように、車止めが置いてある。
「今は営業をしていないのだな」
コンビニの経営にもコツがあるようで、店を開いてみたものの、うまく行かず、半年ともたず閉店する店も多い。
これもきっとそんな店だ。

車の窓の外から、微かに声が聞こえて来る。
「たすけて」
え?どういうこと?
「助けてください」
声は、明らかにコンビニの方から聞こえる。

こういうのが一番不味い。
オレは普通の人と違い、霊感が働く性質だ。
この手の人間で困るのは、生きている人の声と、もう死んでいる人、すなわち霊が囁く声との区別がつかないことだ。
どちらもまったく同じように聞こえる。
姿を見る時もあるが、やはりまったく同じように見える。
そういう経験の無い者からすると、オレがかなり異常で、精神的にどこか疾患があるように見えていることだろう。

もし、あのコンビニの廃屋で誰かが助けを求めているなら、すぐにもあそこに向かわねばならない。
しかし、生身の人間ではなく、幽霊の類なら行く必要がないばかりか、不法侵入になってしまう。
考える間もなく、信号が変わった。
数秒じっとしていると、後ろの車が「ぶぶ」とクラクションを鳴らした。
仕方なく発進する。

1キロほど進んだが、やはり気になったので、もう一度回って同じ場所に行ってみた。
今度は信号の手前の路肩に車を停めた。
車を降り、20辰曚品發い董店の前の道路まで近寄った。
その廃コンビニの扉は開いていた。
すると、その奥から再び声が響く。
「助けて。お願い」
若い女の声だった。

一瞬、「犯罪の被害者が閉じ込められているのか」と考えた。
夜中に車を流しては、酔った女に声を掛け、そのまま人気の無い場所に連れて行く輩はよくいる。
そういうヤツに連れ去られて、この中に入れられたのかも。

だが、頭の中で別の声が響く。
「気を付けろよ。こういう感じの時はヤバイよ」
もし幽霊だったら、かなり危険なタイプだ。
扉を開き、いかにも「入って来い」という局面を作っている。
ただの幽霊ではなく、完全に悪霊だな。

昔、高校生の頃も、幽霊をよく見かけた。
朝夕、通学のために駅の前を通ると、人が倒れているのだ。
壮年の男性で、「うう」と呻いている。
夜なら酔っ払いだ。
朝なら、脳卒中とか病気だろう。
ところが、昼にもそういうのがいて、同じ場所に倒れている。この場合、人が倒れているのに、誰も見向きもしないので、これが生きている人間ではないと分かった。
皆、一瞥もせずに脇を通り過ぎて行くのだ。
よく観察すると、その男はいつも同じ男だった。
要するに、朝昼晩と同じ男が道に倒れている。
それに気づいていてから、オレは堂々とその男の幽霊のすぐ横を通り過ぎるようになった。

しかし、高3の時の冬のことだ。
駅を出ると、またいつもの所に男が倒れている。
見慣れた景色なので、男がいつものヤツと同じかどうかなんて確かめることは無い。
オレは何とも思わず、真横1メートルの所を通り過ぎた。
百辰らい歩き去ってから、何げなく後ろを向くと、その男の回りに人が集まっていた。
「あれは幽霊ではなく、病人だったのか」
この時、オレはもの凄く後悔した。
その人がどうなったかは知らぬが、オレの判断が生死に影響したかもしれない。

「だが、ちょっと待てよ」
今のこのコンビニの場合はちょっと違う。
構造上、風で扉が開くってことはあり得ないのだ。
そうなると、「誰か」が開いたってことだ。
改装工事の下見かなんかで来た人なら、中に人が居ればすぐに見つけるだろう。
コンビニのつくりなら、大概がやわな構造だし、人を閉じ込めて置ける場所は無い。
そうなると、やはり俺を誘い込んでいる可能性はある。
いくら叫んでも、普通の人間には声が届かない。
オレみたいに、幽霊の声を聞きとめられる者は少ない。
なら、オレを見つけたら、オレのことを「絶対に逃がすまい」と思うだろ。
なぜなら、オレに乗っかることが出来れば、このコンビニから出られる。
オレとは波長が合っている筈だから、オレの目や耳を通して見たり聞いたり出来るのだ。

「どうか助けてちょうだい」
だんだん切実な声になって来た。

警察に連絡するか。
しかしソイツはだめだ。
前に電話したことがあるが、基本的に目の前で起きている被害でなければ動かない。
もし、出動して、そこに何も無いことが分かると、露骨に文句を言われるし、迷惑行為者として記録されてしまう。

どうしよう。
判断が付かずに、オレはその場にじっと立っている。

ここで覚醒。

毎日悪夢を観ていますので、ホラー小説の材料には困らない状況です。
この夢に何の示唆があるのかは、まったく分かりません。