13日(火)の朝3時頃に観た夢です。
秋が深まり、夜中に玄関の扉を叩く音が増え、4、5日に1度のペースになってきた。
いい加減、イライラして来たので、そいつの正体を撮影することにした。
オレは2階のベランダに三脚を置き、カメラをセットした。
動く物があったら、自動的に撮影する方式でも良いのだが、それだと、野良猫が通っただけで、フラッシュ撮影をしてしまう。
夜中に度々フラッシュを焚いていたら、近所の家を覗き見して撮影していると思われるかもしれない。
そこで、ドアが鳴ったら、すかさずベランダに走り、自分の手で撮影することにしたわけだ。
状況に応じて、カメラを調整できるので、フラッシュ自体、必要がなくなる。
カメラをセットして、いつも通り机に向かう。
「さあ、いつでも来い」
時計を見ると、ちょうど夜中の12時だった。
ま、夜中の2時から3時の間だから、まだ時間がある。
「今のうちに少し休んどくか」
オレは机を離れ、床に腰を下ろした。
疲れたら、いつでも仮眠できるように、仕事部屋の床には寝袋を敷いてある。
「コンコン」
ノックの音で跳ね起きた。
ところが、窓の外は既に明るくなっている。
「ありゃりゃ。すっかり寝ちまったらしい」
それじゃあ、隣近所の家のドアを叩いた音が聞こえたんだろうな。
ベランダに出て見ると、もはや朝になっている。
「イケネ。カメラがそのままだった」
夜露に濡れてしまったかも。
タオルでカメラを拭き、シートを被せる。
昼の間は使い道が無いので、仕舞っておかねばならないが、どうせ毎晩使うだろうから、使わない時だけシートを被せることにしたのだ。
ベランダから下を見ると、庭の花壇に人影が見える。
5歳か6歳の女の子だった。
「そう言えば、コスモスがきれいに咲いてたな」
その子は家の前を通ったら、当家の庭に咲いているコスモスを目にしたので、近くに寄って眺めているわけだ。
女の子は、薄いシャツに短パン姿だった。
「すぐ近くの家の子だろうけど、あれじゃ寒いよな」
そこで、オレは声をかけることにした。
「ねえ。君はどこの子なの?」
女の子が2階を見上げる。
「スイマセン。お花見てたの。きれいだから」
その子が庭から外に出ようとする。
「見ても良いよ。でも、何か着て来なよ。その恰好じゃ、寒いでしょ」
女の子が首を振る。
「寒くないよ」
「え。もうすぐ11月だよ。風邪をひいてしまうよ」
「ひかないよ」
見掛けによらず、案外、強情なガキだ。
「カーディガンとか着た方が良いよ。熱が出るかもよ」
「大丈夫だよ。だって」
もう一度、女の子が2階を見上げる。
「だって、わたし、もう死んでるんだもの」
オレのことを見上げる女の子の目には、まったく生気が無かった。風景の写真の中に時々写る人影と同じだ。
この世の者ではないことが一目で分かる。
「うわ」
驚いて、ベランダから、家の中に駆け戻った。
心臓がドキドキと音を立てている。
改めて振り返ると、窓の外が真っ暗だった。
「おいおい。朝じゃなかったのかよ」
時計を見ると、まだ夜中の2時半だった。
ここで覚醒。