日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

扉を叩く音 (続)

「毎年、十月の終わりから1月にかけて、深夜、玄関のドアを叩く者がいる」話の続きです。

9月21日 午前1時46分の記録。
居間の定位置で眠っていると、玄関の扉を引く音が響きました。
当家の玄関はドアノブではなく、レバーを引くタイプです。
「ガチャッ」
「そっと引いた」ような音ではなく、力任せに思い切り引っ張ったような大きな音でした。
驚いて飛び起きました。
「今のは一体何?」
例によって、「そういう気がした」などという次元ではない、近所中に響く音でした。

「あの感じは、相当あせっている感じだよな」

思い当たるふしがあります。
20日の夜は、関東地方を台風が直撃する予報になっていましたので、当家では総ての窓の雨戸を下ろしていたのです。
これは何年かぶりの出来事になります。

「明かりが見えず、気配がないので慌てた。そんな感じだよな」

ここからは想像であり空想です。
もしかしてこんな状況ではないか。
「夢の話」風に書けばこんな感じです。

瞼を開くと、自分はどこか知らない街にいる。
家はあるが、人がいない。
犬や猫もいない。
鳥や虫の無く音も聞こえない。
自分はまったくの独りきり。
あてもなく彷徨っていると、時折、人の気配を感じることがある。
家の中で物音がしたり、かすかに声が聞こえたりするのだ。
そんな時は、その家に走りより、扉を叩く。
「誰かいませんか。いるなら返事をして」
「助けて」
返事はない。
薄暗い街の中を、人の姿を求めて、再び彷徨う。

もちろん、あくまで空想であり妄想です。
しかし、あながちそれほど外れてはいないような気がします。
なぜ扉を叩くのか。
それは「助けて欲しいから」ではないかと思います。

時々、人がいない場所で「助けて」という声を聞くことがあります。
いつも空耳だとみなしていますが、実際に何かがいてそう叫んでいると考えると、総ての理屈が通ると思います。
扉を叩く音もそれと同じ。
それなら、音を怖れる必要はないのではないでしょうか。
一定の距離を置く必要がありますが、冷静に対応するのが良さそうです。

今回は音の大きさに驚きました。