母が全身麻酔の手術を受けたので、術後にこう尋ねました。
「眠っている間に、何か夢や妄想のようなものを見なかったか」
すると、「とくに何も観ていない。ぐっすり眠っていた」との返事です。
「それなら、まだ死ぬ運命ではないよ」
あの世に近いところまで行くと、「トンネル」「川」「亡くなった人たち」を観る人が多いのです。
私自身も体験しました。
その数日後、母の様子がおかしくなりました。
明らかに、夢や妄想と現実の違いがわからない模様です。
「オレンジ色や黄色の光が差してきた」
「ベッドの周りにたくさんの人がいて、自分を見ている」
こりゃ、母も手術のショックで認知症になってしまったかもしれない。
こう思い、すぐに家族に報告しました。
しかし、外で電話をして、病室に戻る途中で気が付きました。
「全身麻酔の術後や、鎮痛剤の影響で妄想を観ることがあるよな」
そこで、ベッドの母に尋ねてみました。
「その人たちは誰?知っている人なの」
すると、答は「親戚の誰それ」とか、知人でした。
ここで胸を撫で下ろしました。
「なあんだ。薬の影響だったか」
麻酔や鎮痛剤は、麻薬と同じなので、幻覚を観る人が多いのです。
そこで母に告げます。
「まだオレの領域に追い付いていないよ。当分死ぬことはない」
顔色の感じから見ても、お迎えが来るのはまだ先のことのようです。
薬の影響を除外して、まだ幻覚を見るようなら、そこで初めて認知症が疑われます。
認知症の可能性が低いなら、さらに「何か別の要因」になります。
私は既にこの段階で、今も時々「既に死んでいる人」を見ます。
もちろん、これも大半が妄想や幻覚と思いますが、中には説明の付かない現象も混じります。
大きな物音がしたり、物が動くといったことで、これは第三者がいる状態でも起きます。
すなわち、妄想だけでなく、「現実に何かが起きている」ということです。
理由は分かりませんが、とりあえず、「あの世にごく近い位置にいる」ことは確かです。