日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎仲間が出来る

◎仲間が出来る
 病院で一人の看護師(50歳くらいの男性)に愚痴をこぼしました。
 「どうやら俺はヤバいらしい。年寄りや死期の迫った病人が見るような妄想や幻覚が見える」
 すると、その看護師が訊きます。
 「どういうヤツですか?」
 「お迎え。死神みたいなヤツ」
 そこから、前の病院にいる時にそいつらが来たこと、見た目は普通の人間なのにこの世の者ではないこと、などを話しました。そしてそいつが、昨夜も当家の玄関まで来たことも。
 「父の知り合いの高齢者もそういう妄想を見ていたが、その後程なく死んだ。父も今見ているが、少し現実に結びついているから、父のは違うものらしい。それが何であれ、いずれにせよ、俺にもそういう死神が来ている」
 そこでそいつがどんな感じのヤツか、あるいはそいつが当家の門柱の脇に立って、じっと2階を見上げていることなどを伝えたのです。

 普通の人は相手にしない話ですが、さすが看護師は違います。病院には、高齢で認知症が進んだり、病気が悪化して妄想を見て叫ぶ患者がたくさんいます。
 「俺のもそういう患者の見る妄想ではないかと思うのだが、困ったことに、時々画像にも残る。到底他人には見せられないし、見せたことが無いけれど、やはり写っている。そういうのは心身の状態とリンクしているから、何かが起きた後では、もの凄く具合が悪くなる」
 「それ。見せて貰ってもいいですか?」
 「かなり気持ち悪いけど大丈夫か。具体的に言えば、首を吊ってぶら下がっている死人の姿だよ。どういう仕掛けなのか分からないが、死んだ時の姿のままで写る」
 すると看護師がニコッと微笑みました。
 「仕事柄、大丈夫ですよ」
 そりゃそうだ。ここは病院だから、「仏さま」には慣れていますね。

 そこで、お盆明けに手元にある画像を見て貰うことにしました。これぞという画像はすぐに捨ててしまうのですが、それでも年に何回かは出て来ます。
 当方の感覚も、もちろん、大半が妄想だし、虚構だと思いたいけれど、この画像は何なのか。
 これまで一人で抱え込んで来たわけですが、同じように自然体で見てくれる者が出来るのは有り難いです。
 前にうっかり、やや重めのを知人に見せたことがありますが、「こんなのは見せてくれなければ良かった」と散々文句を言われました。
 お前が「見せろ」と言ったのに。
 ま、たかを括っているわけですね。テレビなんかで見るヤツをその通りに受け取っている。
 霊能者や宗教家の言う「ごたく」を信じているわけです。
 「※※霊」とかいう細分化したカテゴリーを使って、まるであの世に「霊の社会」があるかのような発想は、すべて空想であり妄想ですよ。
 実態をまったく知らぬ者の言い草です。

 以後、滅多なことでは見せません。
 他人に見せるのは「自然現象だ」とか逃げ道のあるものだけです。
 人間、逃げ道のない状況に追い込まれると、その場にいた者に責任を転嫁します。
 覚悟の無い者は無視するに限ります。
 大体、「知らないほうが幸せだ」ということもありますしね。
 とりわけ、興味本位で取り扱うと、後で手痛いしっぺ返しがやって来ます。

 妄想が「心身の状態とリンクしている」のは事実で、その後30分ほどで、血圧が230くらいまで上がりました。
 心臓の不調は、いきなり、突然やってくるわけです。
 でも、そこは病院だし、医師も看護師も十メートル以内に立ってます。事前に「お迎えが」と話をした看護師が、すぐに走って来てくれました。
 その後、出戻りオバサン看護師の処置が下手で、だいぶ出血したのですが、まあ、こんなもんです。

 こういう自分にも初めて仲間が出来、少しホッとしたわけですが、ザワザワ感は消えていません。
 この手の感触は、頭では絶対に分からない。
 この手の実態はホラー好きが語るものとはまったく違います。へんな知識がついていると、どこからどこまでが事実で、どこからが想像や妄想かを考える事が出来なくなるので、「心霊がどうたら」と吹聴する人は、むしろそれを全面否定する人より始末が悪いです。
 いくら言葉で説明しても無意味なので、本当に困ってしまいます。