◎占い師や霊能者の語る「嘘」
まず3つの画像を見てください。画像処理がお粗末ですが、イメージは出来ると思います。(ちなみに、ネットでフリー画像をダウンロードして加工したものです。)
1つ目は「床の上に置いた板」ですが、ここでは板の幅を15センチとしておきます。
さて、この板の上を渡ることは可能でしょうか。
その答は「ほとんどの人が渡れる」です。
2つ目は「椅子の上に渡した板」です。
これを渡ることは出来ますか?この場合、板が硬くて、人が載っても撓(たわ)んだりしないと考えて下さい。
板の長さにもよりますが、2メートルくらいなら、「まあまあ渡れる」人が多いでしょう。
さて3つ目です。
ビルの間に渡した板。これを貴方は渡れますか?
これには、大半の人が「渡れない」と答えるでしょう。特別に練習を積まない限り、この板を渡るのは難しい。
困難の理由は「落ちたら死ぬ」という恐怖心があるからです。
同じ幅の板なのに、上手く渡れるか渡れなかったりしますが、身体的条件を除けば、多く「周囲の状況に不安や恐れを感じている」ことで、見え方が変わって来るのです。
詐欺師のつけ入る隙はそういうところです。
具体的な1つめのステップは、「今が危険な状況であると認識させる」ことです。人生や生活の様々な局面で現実的な困難が現われますので、その悩みを利用するのが最も簡単です
就学、就職、結婚・離婚、子育てなど、人生の様々な局面で困難が生じますが、詐欺師はそれを誇張します。
「方角が悪い」「名前が悪い」「手相で決まっている」
「悪霊に憑依されている」等々。
板の外には恐ろしい危険があるのですよ、というレトリックです。
これを指摘することで、板を渡ろうとする人に恐怖心が生まれます。
「ビルの上に立っている」と思えば、恐ろしくて堪らず、一歩も前に進めなくなります。
次のステップは、「手を差し伸べること」です。
「手に別の線が出ているから大丈夫」「家のある方角に何かを置けば良くなる」
「神を信じ、深く帰依すれば救われる」
で、それを実行した証拠が、「多額のお布施をする」「謝礼を払う」に繋がります。
相談を聞いて貰い、助言を貰っていますので、時間と労力に対する対価を支払うのは、むしろ当然のことだと思われますが、明らかに法外な金額に及ぶことがあります。
何百万とか何千万に及ぶのであれば、やはり「法外」の範囲となります。
自称「霊能者」の場合、相手に「ビルの上」を自覚させる手段は、ほぼ「悪霊」です。
「悪霊に憑依されている」「悪魔に取り憑かれている」
「そのままだと地獄に落ちる」
実際に、この世には説明のつかない現象が存在します。魂は死後もかたちを変えて存続しますし、悪影響が生じることもないわけではありませんが、それはほとんど稀です。
ひとつ足を踏み外したら、「奈落に落ちる」というようなものではない。
ほとんどのことは、「どうということもない」と思えば、乗り越えられる性質のものです。
霊の存在をまるごと否定する人でも、ごく普通に生活が出来るのです。これは自身が「床の上に置いた板」を渡っているという認識でいるからです。床の上に置いた板と信じられるのであれば、困難は感じません。
ここでも大半の危険は、「自らの恐怖心から生まれている」と言えます。
すると、生きぬいて行くためにやるべきことはただひとつ。
「その時々の境遇なりに最善を尽くす」ということに尽きます。
こう言うと、現状肯定主義的な見方のような言い回しになるのですが、しかし、もちろん、状況により、立ち向かうべき時、戦うべき時もあるわけです。
そういう判断は、まずはともあれ「冷静になり、自分を顧みてよく考える」ことで導くことが出来るのです。占い師や霊能者に金を払うことでは解決しません。
ちなみに、私は「霊能者」を否定しています。
これまで、「説明のつかない現象」を自ら示すことの出来た人は一人もいません。ただの思い付きを言うだけです。「能力者」なら当然、「出して見せられる」筈です。
なお「当たった」「外れた」はまったく関係ありません。後から付けられます。
実際、ブラジルだったかの霊能者の予言は「よく当たる」と喧伝されていますが、日本では毎月のように、「どこかの地域で大地震が起きる」ことになっています。それじゃあ、繰り返しているうちに、いつかは当たります。そこを取り上げて「当たった」は無いでしょう。
そもそも、そういうのは霊的現象ではありませんし。