◎扉を叩く音 (続)
「毎年、深夜になると玄関の扉を叩く音がする」話の続きです。
ちなみに、例年は玄関の前まで止まっていたのが、今は出入り自由となり、概ね私の数メートル後方に待機しています。
12月10日以降の実家での出来事。
実家に戻り、長椅子に横たわっていると、そのまま寝込んでしまいました。
深夜の2時頃になり、半ば目が覚めようとした時に、父母の部屋の扉が「ぎー」と音を立てて開いたのです。
「あ。お袋だ」
すぐに目覚めます。
居間との境にはガラス戸があるのですが、その向こう側から誰かが見ている。
そんな気配があります。
「お袋はまだこの世に留まっていたのだな」
そう言えば、亡くなる前の日まで、孫の受験のことを案じていたので、3月になりそれが落ち着くまでは待つつもりなのでしょう。
廊下に出てみると、実際に部屋の扉が開いていました。
それが初日の出来事でした。
2日目の夜に私は起きて仕事をしていたのですが、やはり「ぎー」と扉が開きます。
軽い足音も響く。体重が40キロに届くかどうか。そんな音です。
さすがにドキッとします。
思わず、「俺は今、忙しいから、構わないでくれ」と口に出して言いました。
考えるだけでなく、「口に出して言う」必要があるのは、生きている者と変わりありません。
すると、それ以降は、静かになりました。
「やっぱりお袋か」
生前の母は私が勉強したり原稿を書いていたりすると、傍には近づかないようにしていました。
ま、「黒い女」の方は、いつもすぐ後ろで私を眺めています。
私が「そちら側につく」と宣言してからは、ざわざわ感が無くなったのですが、確実に気配はあります。画像にも顔を出すのは、これまで公開してきた通りです。
どんなかたちかはまだ分かりませんが、いずれ「心を癒す」手助けをすることになるとは思います。
もちろん、暗黒面の使いなので、「この世に祟りの雨を降らす」方向ではあります。
「報い」には褒賞と懲罰の2種類があるわけですが、「黒い女」は懲罰の方。嫉妬や猜疑心、妬みや恨みを撒き散らします。